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  • 2016.03.31 Thursday

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昨日のブログ でご紹介した本の著者は
石川県輪島漆芸美術館 の館長さんなのだそうです。

だからでしょうか、本を読んだらこれで一献したくなって。

201009291026000.jpg

一昨年、輪島の朝市通りの 涛華堂 さんで
溜塗のニュアンスが気に入って求めた酒器です。
独特の色みを携帯のカメラではとらえられないのが残念。

小さなボディながら、何人もの職人さんの手仕事を経て …

さて、漆のうつわは手入れが面倒と感じるかたが多いようです。
慣れてしまえば難しいことはありません。
基本的に、以下のようなことに気をつければ大丈夫かと。

◆ かたいタワシでガシガシこすらないこと。
◆ 熱湯ではなく、ぬるめのお湯で洗うこと。
◆ 洗剤は控えめに、でもクレンザーや漂白剤は使わないこと。
◆ 洗ったら、やわらかい布巾でよく水気をとってやること。
◆ 直射日光や過度の湿気にさらされない置き場所を選ぶこと。

どこででしたか、ずいぶん昔のことなので忘れましたが
自分の肌と同じように扱えばいい、と伺ったことがあります。
こうして留意点を羅列してみると、まさにそのとおりですね。

では、もしもキズがついてしまったら。

根来(ねごろ) の美しさを知っているからでしょう。
普段づかいのうつわについてしまった多少のキズならば
長い目でみれば、かえっていい味わいを生んだりしますので
私はたいして気になりません。

ただ、よほど残念なキズの場合や
茶道具の炉縁(ろぶち)など、キズでどうしても見劣りするものは
買ったお店や職人さんのところで補修してもらったり
上から漆を塗り重ねてもらうことも可能です。

日用品としては決して安くない買いものかもしれないけれど
一生もの以上の堅牢さを秘めている、真正の漆器。
やはり、よいものを選ぶのが大前提かと思います。

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蓋置(ふたおき)という茶道具があります。

お茶席で、釜の、まさに蓋を載せるためのものなのですが
私はこれを、自宅のキッチンでも気軽に活用しています。

201008311017000.jpg

私物なんですが。
古道具店で、たしか100円か200円くらい …
とにかくびっくりするほど安価でした。

古道具店や骨董市などで探してみると
たまに、茶道具店にはないような面白い感じのものを
安く買えることがありますよ。

キッチン用にするのでしたら、磁器製がおすすめ。
頑丈なうえ、油やソースで汚れてもじゃぶじゃぶ洗えます。
シンプルな筒状のものは安定感がありますから
重量感のある鋳物の鍋蓋なども
直径30センチくらいまでなら平気で載せてしまいます。

昨日の イタヤ狐 は、蓋置として用いるならば
どちらかというと小さめ、軽めのもの専用でしょうか。
いろいろ載せてみましたら、急須やポット、鉄瓶の蓋のほか
ケメックスのコーヒーメーカーのガラス蓋がぴったりでした。

いずれの場合も、お茶室で用いるのと同じく
蓋の裏についた蒸気の露を、ポタリとやらないために …

蓋を上げる際、お鍋や急須などの上でいったん斜めに傾け
露をさっぱり落としてから
ふたたび水平にして、そのまま蓋置まで移動させましょう。
蓋置の上で水平を保っている蓋からは、水滴が落ちません。

茶の湯のお点前って、とても合理的。
生活に還元できるものごとが、意外と多かったりします。
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昨日、浜松の遠鉄百貨店で
家庭用品の売り場をぶらぶらしていたら …

あれ、白い きつね がこっちを向いてる!

201008301023000.jpg

イタヤ細工の 「イタヤ狐」 です。

イタヤカエデの幹を、放射状に6つに割いて
ひとつずつ、きつねのかたちに削ってあります。
塗装などはほどこさず、無垢のままです。

このイタヤカエデ独特の白さ、いいですね。

ちいさな玩具として、飾っておくだけでもかわいい。
私は、雑誌ではじめてこれを知ったときから
木のスプーン用のレストにしたいな、と思っていました。
1,050円のものは、まさにジャストサイズでした。

201008301021000.jpg

ひとまとめにすると、こんな感じ。

この状態で 「蓋置(ふたおき)にする人もいるよ」 と、ご主人。

たしかにこのサイズ、あまり重いものは大変そうですが
小さめのアルミ鍋とか、鉄瓶や急須の蓋を置くのによさそう。
じかに置くと、しずくが台上に落ちたりしますものね。

秋田・角館の民芸イタヤ工房、菅原さんは
明日31日(火)まで、1週間限定で出店しているそうです。

大小・色みさまざまのかごや
枝折がわりにも使えそうな 「イタヤ馬」 もありましたよ。
浜松近辺の、気になるかたはぜひのぞいてみてください。

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ひとつ前の記事でご紹介した 『パリからの紅茶の話』 では
東洋からもたらされた硬質な白色磁器が
ヨーロッパで愛好され、模倣された過程にも多少言及しています。

そう、西洋文化を好んでとり入れている現代の日本人には
驚くべき事実として映りますが
18世紀、ドイツのマイセンが皮切りの西洋における磁器生産は
最初のうちは中国や日本からもたらされた品の模倣でした。

それが、喫茶文化の広まりと作法の形成に合わせ
独自のスタイルや絵付がほどこされるようになっていきます。

わかりやすいところでいえば、カップのハンドル(持ち手)。
もともと東洋の茶碗や鉢にはハンドルがついていません。
ですから、現代に伝わるマイセンの初期の器などにも
柿右衛門や古伊万里に、形も絵柄の雰囲気もよく似た
ハンドルのないティーボウルが見られます。

しかし、高温で淹れる紅茶の器としては
磁器は薄すぎて、本体を手で持つには熱くて大変です。
18世紀のはじめは、お茶をいったんソーサー(受け皿)に移し
冷ましてから飲んでいたとか。

そこで1730年代、カップにハンドルをつけるようになりました。
つまり、今日わたしたちが紅茶やコーヒーを飲むのに用いる
洋風のハンドルつきティーカップは
東洋の器の改良版、逆輸入品?的なものでもあるわけですね。
  
       *   *   *  
 
200811051440000.jpg
 
さて、こちらの写真で茶器として使っているのは
まさに18世紀創立、デンマークのロイヤル・コペンハーゲン製。
ブルーパルメッテというラインの、カップとソーサーです。
白磁に染付、“間” をうまく活かした図柄の構成が
洋食器でありながら普段の食卓にとり入れやすく、重宝します。

ハンドルのない東洋的なスタイルの器が、今またつくられ
なおかつ日本でも販売されていることの面白さを感じます。
 
 
※ 参考文献
  『紅茶とヨーロッパ陶磁の流れ』 展 図録
  (名古屋ボストン美術館 2001年)
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輪島で泊まったお宿にて。
部屋の一隅に、さらりと置かれた薊(あざみ)の花。

200809211741000.jpg

花器は小ぶりな土ものでしたが 
その下に配された朱塗りの丸盆が景色を引きしめ 
まるで、ぽっとスポットライトがあたったかのように 
薊の可憐な表情を引き出していました。

さすがご当地、使いかたが上手だなと感心。
活きた姿に触れれば触れるほど、漆器の汎用性を感じました。

お盆は、茶碗などの器を 「運ぶ」 用途のほかに
たとえば菓子器や折敷(おしき)代わりに 「盛る」 ときや 
このような 「飾る」 ときにも使えます。
お茶時間のしつらいが広がりますね。

輪島漆器商工業協同組合による 輪島塗 サイトには 
暮らしのなかでの漆器の愉しみかた、活用法が 
美しい実例写真とともに紹介されています。
参考になりますよ。
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先日とある器屋さんにて、ひと目惚れして求めたものです。

200809041124000.jpg

叩き出しの繊細なこと。
鉄という素材なのに、先端はかなり薄く、軽い。

成田理俊 さんという作家さんのものだそうです。
まるで上質の竹炭のごとくに、肌に馴染むマットな質感は
ご本人のブログによると 「漆焼付け」 だそう。
やや細身ですが、茶杓(ちゃしゃく)として使おうと思っています。

そう、茶杓 = 竹、でなくともよいのです。
(型にとらわれない気楽な集まりなら、マドラー も便利ですよ)

そもそも茶杓のルーツは、中国で唐〜宋代に用いられた 
ぽってりとしたフォルムの 「薬匙(やくじ、やくさじ)」 です。
素材は象牙や銀、鼈甲(べっこう)などでした。

しかし、いずれも稀少で高価。
身近な素材である竹の茶杓をはじめてつくったのは 
“侘び茶の祖” といわれる村田珠光で 
竹を削った上に漆をふいたものが多かったようです。

ただし、珠光作の茶杓には、現在一般的となっている 
“中節(なかぶし)” がありません。
中ほどに大胆に節を残した、私たちが見慣れているタイプは 
利休の創意といわれています。

それ以降、今日に至るまで茶杓といえば竹製が主流。
軽量かつ、茶人自ら削り出してつくることができるのも 
大きな要因でしょうね。


※ 参考文献
  『茶道辞典』 (淡交社)
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走りの 新茶 をはじめ、上級の リーフ を淹れる際には
1煎目は思いきって、ぬるいかなと感じる50〜60℃程度まで
湯温を下げて しまいましょう。
渋みを抑えつつ、甘みをじっくりと引き出すことができます。

熱湯で淹れる場合との風味の違いは格別ですが 
さらに、2煎目からは徐々に温度を上げていくと 
特上・極上クラスならば、なんと4煎目までおいしくいただけます。

つまり、この淹れかたは、とても経済的でもあるんですよ。

さて、湯温計 をお持ちでない場合
熱湯を冷ます際にあると便利な道具が “湯冷まし” です。
ただし、専用のものを販売しているお店は意外と少ないようです。

ならば、ここはひとつ “見立て” の心で 
片口やピッチャーなど、手近にある器を利用してみては。

200805011220000.jpg

写真手前は、以前、福岡県太宰府の 陶房 晴 にて 
かいらぎが手に吸いつくように馴染んで手放しがたくなり 
ならばコーヒーのサーバーにと思い、求めたものです。
これが、上煎茶なら2〜3人分の湯冷ましとしてもいいサイズ。

奥は、パイレックスの耐熱ガラスのビーカーです。
機能的ながら、薄口でシンプルなつくりなので
テーブルの上の雰囲気を損なうことなく、重宝しています。

これらのように大きすぎず小さすぎず、ほどよいサイズと軽さで
注ぎ口のキレがよいものならば、なんでもよいのです。
日本酒用の片口や、ドレッシング入れ …
湯冷ましがわりに使えそうなもの、食器棚に眠っていませんか?

もしも、お手もとに適したものがないようならば
お気に入りの器を選ぶときの基準で探してみてくださいね。
好きな器だと、お茶を淹れるのがますます愉しくなります。
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春になって、野外でお茶を愉しみたいとお思いのかたも 
いらしゃるのではないでしょうか。

茶道のお道具には、さまざまな決まりごとがありますが 
抹茶を点てるのに本当に必要なのは、実は茶筅(ちゃせん)のみ。
茶筅は、お茶を攪拌するのにぜひとも必要ですけれども 
他のものはすべて、何かしら代用がきくんです。

たとえば。

200803261427000.jpg

いちばん左は茶杓ですが、のこりは異素材のマドラーです。

こんな感じのもの、キッチンに転がっていませんか? 
持ち手が長く、全体のシルエットがスマートなものなら
抹茶をすくいやすいし、携帯にもかさばりませんね。

ほかのお道具も、同様です。
お茶碗なんて、かつて用いられていた大陸渡来の日用雑器が
いまや、国宝級の指定を受けていたりするのですから。
小ぶりの鉢とか、カフェオレボウルとか …
さらには陶器や磁器でなくとも、お碗形ならばお茶を点てられます。

何をどう見立てるかが、野点(のだて)ならではの面白さ。
お茶を、とことん遊んでください。
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200712270852000.jpg

お年玉を贈るのに、かわいいポチ袋を選ぶのも愉しいですが 
こんなふうに和紙を折ってつくれば、ちょっと粋に。

写真手前は、四方が紅色にふちどられた“四方紅紙”を 
三ツ折の紙幣が入る大きさに折ったものです。
ちょうど、和服の前あわせのように、かわいくなります。

後ろのふたつは、ともに懐紙を使いました。
懐紙は、常に携帯していると、いざというときに便利ですよ。
ちょっとボケてしまってわかりにくいですが 
左はわが家の家紋、右は梅の花の絵柄入りです。

家紋のほうは、京都の ぴょんぴょん堂 製。
職人さんの手刷りで、ちょっとした心付などにも最適です。

これらは、“折形(おりがた)”といわれるもの。
室町時代には完成したという、武家に伝わってきた礼法です。
当時貴重だった紙を、贈る相手への“礼の心”をこめつつ折る。
思いが宿る、そんな古式ゆかしい作法です。

まさしく“折り目正しく”折ること。
普段なかなかしない動作だからか、これが意外と神経を使うんです。
身がひきしまる思いがします。

下記の本は、すべての折形に、折りかたの図がついていて
初心者にもわかりやすく、おすすめですよ。

折形レッスン―美しい日本の包み方
折形レッスン ― 美しい日本の包み方
山根 一城
(文化出版局)

写真も、美しい。
気負いなく、暮らしのなかに活かせそうなアイデアが
ここにはたくさんあります。
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200712140917000.jpg

今年もおいしい新酒をいただける、しあわせ。
グラスもいいですが、お気にいりの“ぐいのみ”で呑むと 
なおのこと、おいしく感じられます。

お茶屋がお酒? と思われるかもしれませんが 
実は、正式な茶事では、お酒もいただくことになるので 
お酒がたしなめると、お茶の愉しみもますます広がります。

写真の器のなかで、私のいっとうのお気にいりは 
手前右側、奈良で買った赤膚焼(あかはだやき)。
当ブログで先日触れた 膳所焼(ぜぜやき) と同様に 
小堀遠州が好んだ“遠州七窯(えんしゅうしちよう)”のひとつです。

この器は、正人窯(まさんどがま)という窯元のもので 
奈良の風物を織りこんだ“奈良絵”の絵付がされています。

ところで、ぐいのみはお酒以外でも活躍してくれます。

金平糖とか、ミニ落雁とか、あられとか 
コロコロとした小さなお茶うけを添えるのに、いいサイズ。
お客様にコーヒーを出すときに、砂糖入れにしてもいいし 
手塩皿の代わりに使っても、また素敵ですよ。

器の用途を限定しないで、いろいろ“遊ぶ”ようにしたら 
テーブルコーディネートを考えるのが、面白くなりました。
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