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  • 2016.03.31 Thursday

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お茶会のマナー 24 ● 主菓子を取るときは手前から

おもに、濃茶(こいちゃ)をいただく際に供されるのは
練切(ねりきり)や生菓子、蒸菓子などの
ややボリューム感のある 「主菓子(おもがし)」 。

この主菓子が、銘々皿で供されるのではなく
人数分まとめて盛られた、鉢などの菓子器が回ってきたら。
複数個あるうちの、どれを取ったらよいでしょう。

主菓子の場合は、添えられた取り箸を使って
器のなかのいちばん手前のものから取るようにします。

もし、いちばん手前の列が1個だけではなく
左右にかけて2〜3個並んでいる場合は
右端にあるものから取るようにしてください。

右手が利き手の人が多いですから
箸を右手で持って、右側のお菓子から取るようにすれば
ほかの人の分を箸先で触れて欠いてしまったり
くずしてしまったりする粗相が防げる、という理由から。
合理的ですね。

取る際には、次の順番を待つ客に 「お先に」 と一礼してから
菓子器から自分の 懐紙 の上へと、菓子をひとつうつします。

懐紙にのせたあとの主菓子のいただきかたは
お茶会のマナー 10」 をご参照くださいね。

       *   *   *  

さて一方、薄茶(うすちゃ)には一般的に
落雁(らくがん) の類や有平糖(あるへいとう)といった
軽めで小さめの 「干菓子(ひがし)」 が供されます。

ひとつの器に2種類盛られることが多いようです。
ただし、それらを取る順番は流儀によって異なります。
まず向こう側のものを、次に手前側を取る流儀が多いようです。
わからない場合は、上座の客の所作をご参考に。

なお、干菓子を取るときにも、主菓子と同様に
まず次客にひとこと 「お先に」 とあいさつしてください。
そして、小高く重ねるように盛られているものは
なるべくくずさないように注意しながら、上にのったものから
1種につきひとつずつ自分の懐紙へうつします。

箸は添えられませんので、指でつまむようにして取ります。
菓子に触れた指先は、懐紙の端で軽くぬぐうとよいでしょう。


※ 参考文献
  『知っておきたい茶会の心得 お茶会に行ってみよう』
  (淡交社)
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お茶会のマナー 23 ● 心おきなくたてる、「すいきり」 の音

無関係な私語携帯電話の着信音 は、当然マナー違反。
そんな静寂のなか、黙って坐っているというのは
お茶会初心者さんにとって、緊張このうえないことでしょう。

客にも、遠慮せずに発してよい音があります。
代表的なのが 「すいきり」 。

“薄茶(うすちゃ)” “濃茶(こいちゃ)” ともに
茶碗のなかの最後のひと口を
すするように音をたてて飲みきることを、そういいます。

おそらく、お茶会体験のいちばん最初は
ややカジュアルな “薄茶” 席がほとんどでしょう。
この場合、1人につき1碗が渡されますから
皆がそれぞれに 「すいきり」 をすることになります。

茶碗を 左の掌(てのひら)にのせ たら
いく口でもいいので 最後まで飲みきり ますが
その最後のひと口は、「ズッ」 と音をたててください。
ただしボリュームは、上座のかたがたをご参考に。

流儀で多少はありますが、抹茶の表面には泡がたっており
これをなるべく茶碗に残さず、おいしく飲みきるために
「ズッ」 の音は不可欠なのです。

すするやいなや、口中にお茶のうまみがふくらんで。
蕎麦をすするとおいしいことに似た理屈かもしれません。
ほんとうに、お茶の味わいが違ってきます。

じつはこの音、お茶事の流れをつくるのにも不可欠な要素。
亭主にとっては、次のお点前に入るための合図となります。
ためらわずに音をたててくださいね。

さて、一方の “濃茶” については
客一同でひとつの茶碗をとり回すのが一般的です。
この場合おおむね、「すいきり」 をする人は
いちばん下座に位置する末客、いわゆる 「お詰め」 です。
初心者のうちにこの役目を任されることは、まずないでしょう。

とろとろに練った “濃茶” を最後にすいきるのは意外と大変。
茶碗をとり回しているうちに水分がすこし蒸発してくると
ちょっと強めにすすらなければなかったりして。

お茶席は生き物、それもまた面白いのですけれど。


※ 参考文献
  『「茶の湯」入門 ― 美しい作法が身につく』
  小西 宗和 (高橋書店)

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お茶会のマナー 22 ● 携帯電話は持ちこまないで

お茶席には、なんと多くの美しい音があることでしょうか。

さらさらと乾いたような衣ずれの音。
松風」 などと風流にたとえられる、釜のお湯が煮える音。
茶杓(ちゃしゃく)から茶碗へと、お湯が注がれる音。
茶筅(ちゃせん)でお茶を点てる音 …

静寂のなか、耳に届く繊細な音のひとつひとつが
お茶の味わいを深める舞台装置のようにも感じられます。

ごくまれにですが、そんな静寂を切りさくように 
携帯電話の着信音が鳴り響くと、あらら、ガッカリ。
いままでの心地よい緊張感がぷっつりと切れて
リズムを失した音楽や芝居のような、間のびした空気が漂います。

たとえば、コンサートホールや映画館では
電源を切ることをうながす案内放送が事前に流れたり
妨害電波を出して着信をさまたげたりと
さまざまな試みがなされていますね。

しかしお茶事では、静寂を保つのは暗黙の基本ルール。
自分自身で注意しなければなりません。

玄関に着いたら、門を開けて入る前に 
あらかじめ携帯電話の電源を切っておくか、マナーモードに。
そして当然、お茶会では必要のないツールですから 
コートやバッグとともに 風呂敷 にまとめ、預けておきます。
お茶席にまで持ちこまないようにしましょう。
携帯電話以外にも、音の鳴るものは同様の注意が必要です。

意外とうっかり忘れがちな “電源OFF” 。
心の片隅に留めておいてくださいね。
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お茶会のマナー 21 ● 着物、柄選びの盲点

洋服選びのポイントや注意点については
「お茶会のマナー  ・ 」で触れました。

でも、せっかくだから着物で、とお考えのかたも
いらっしゃることでしょう。
和の装いで茶室に入ると、気分もおのずと高まりますね。

最近、お手ごろなリサイクル着物の専門店が増えて
和装を楽しむ人も増えたように感じます。
街着には、ちょっと変わった派手な色柄も楽しいですね。

ただ、お茶会の着物選びでちょっと難しいのが
そのファッション感覚をそのまま持ちこめない、という点。
参加する会の趣旨や、茶席の雰囲気にあわせ
ふさわしいものを選ばなくてはなりません。

たとえば、結婚式や披露宴に出席するときには
女性は白い洋服をさけるのが暗黙のルールとなっていますね。
これは、主役である新婦の白無垢やウエディングドレスと
色がバッティングしないための心づかい。
それと同じような感覚が、お茶会でも求められます。

入れられる可能性の大きい茶花と、同じ柄のもの。
あるいは、茶道具が引きたたないほどに華美なもの。
避けたほうが賢明です。

白洲正子さんの 『きもの美』 にある
「茶道具の静けさに調和した雰囲気」 がひとつの基準でしょう。
亭主が心をくだいてしつらえた場を尊重するためにも
お茶会に慣れるまでは、一つ紋付の色無地や、訪問着など
シンプルで控えめなものを着回すのが無難かと思います。
そのうちに自然と、装いの足し算・引き算の加減がつかめてきます。

ただし、大寄せ茶会などの略式でカジュアルな雰囲気ならば
全体に細かな文様が散りばめられた小紋(こもん)なども
控えめでありながら愛らしく、おすすめです。

茶の湯のお稽古をされているかたは先生や先輩に
また、専門店などの詳しいかたに相談しながら
なるべく早めに、余裕をもって準備しておくとよいでしょう。


※ 参考文献
  『「茶の湯」入門 ― 美しい作法が身につく』
  小西 宗和 (高橋書店)
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お茶会のマナー 20 ● 質問したいことがあったら

数名がおよばれするお茶会の場合
茶室に居並ぶ客のなかで、いちばん上座にいる人を
「正客(しょうきゃく)」 、または主客といいます。

いうなれば正客は、その席の客の代表。
メインゲストです。

お茶やお菓子、料理を最初にいただくのはもちろん
代表で亭主とあいさつを交わしたり
道具のとり合わせなどについて、お話や質問をするのも
正客の大切な役目となります。

ですから、正客以外の人が亭主に質問したい場合には
基本的には正客を通し、かわりにうかがってもらいます。
亭主が席をはずした際などに、お願いしておきましょう。

ただ、ほんとうに気心のしれた親しい者だけの
こぢんまりと少人数の席などは
集う皆で、和やかに語らうこともあるかもしれません。

このような場合も、状況と雰囲気をわきまえたうえで
あくまでもお茶会の主旨に沿った話題を心がけてくださいね。
いうまでもありませんが、私語は慎みましょう。

ちなみに、お茶事についての知識や経験がある程度ないと
正客を務めることは難しいため
お茶会初心者がいきなり任されることはないでしょう。
いちばん下座となる 「お詰め」 も同様です。

万が一、同席する客に知人がいない場合などは
事前に自分が初心者である旨を伝え
まん中あたりに坐らせてもらうのが気負いないでしょう。
そして、正客やお詰めの振舞いを拝見していると
糧になることがたくさんあると思います。


※ 参考文献
  『知っておきたい茶会の心得 お茶会に行ってみよう』
  (淡交社)
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お茶会のマナー 19 ● 気のこもったお辞儀が美しい

正坐(せいざ) の姿勢でお辞儀をする機会は
現代の日常生活では、そう多くはないかもしれません。

しかしながら、いわゆる正式な茶事では正坐でのお辞儀が多く
慣れないうちは、その所作がとってつけた感じに見えることも。
お決まりの “型” をなぞっているだけのお辞儀には
残念ながら、心の不在が見え隠れしてしまうようです。

お辞儀の際の手のつきかたや、所作の細かな種類は
やはり 流派によって異なる ため
まずは、ご自分の学ばれている流儀での所作を
きちんと習得されるのがよろしいかと思います。

1点、流派に関わらず、美しくみえるお辞儀のコツは

「頭だけを下げずに、腰から上体全体を落としていく」

こと。

首をかしげて頭ばかりを下げると、背筋が極端に丸まります。
丹田(たんでん)を軸とする感覚で上体ごと下げれば
すっきりときれいに映るかと思います。

そして、おもてなしへの感謝の気持ちをこめつつ
ゆったりと心静かに動作をすることで
その心のうちが、きっと亭主へも伝わることでしょう。
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お茶会のマナー 18 ● 差が出る坐ったときのたたずまい

椅子に腰掛ける立礼(りゅうれい)などをのぞけば
現代のお茶事では一般に 正坐(せいざ) が基本です。

茶道熟練者のたたずまいは、ただ坐っていても美しい。
背筋をキュッと伸ばし、あごを軽く引いて
身体のどこにも、不自然な力は加わっていないのだけれど
ほどよい緊張感に満たされている感じは
長年の “慣れ” からくるものかもしれませんが。

さて、正坐の際の姿勢のとりかたですが
以前にもご紹介した 矢田部英正氏の新聞連載
非常に明朗なヒントが紹介されていました。
(11月9日付 朝日新聞 日曜版)

身体を真横から見たときに
「 『耳と肩』 『鼻と臍(へそ)』 をまっすぐにすること」 。

「道元禅師の提唱する坐り方の作法」 にある
2つの重要なポイントだそうです。

これに沿って、試しにやってみるとわかりますが
首から頭にかけてが、自然と引き上げられるように
背骨の上にくるのです。
おのずと丹田(たんでん)が意識され
そして、背筋はぐっと伸びて気持ちがいいこと。

道元禅師の生きた鎌倉初期には、まだ
日本人に正坐の習慣はなかったと思われますが
正坐においても禅師が提唱した作法は共通するようです。

単純明快で、覚えやすいポイントですから
お茶会やお稽古で姿勢を整える際には思い出してくださいね。

なお、坐ったときの手の重ねかたは、茶道の場合
たとえば表千家は左手が上、裏千家は右手が上というように
流派によって異なります。

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お茶会のマナー 17 ● お礼の手紙を出してみよう

正式なお茶事では、「前礼(ぜんれい)」 といって
招待されたら遅くとも前日までに亭主のお宅に出向き 
承諾の旨をお伝えするのが習わしとなっています。

そして、お招きいただいたあとは 「後礼(ごれい、こうれい)」 。
感謝の気持ちをお伝えするため、早いうちに伺います。
このときに 答礼品 を持参する場合もあります。

これらは、昨今では簡素化されることが多いようです。
しかしながら、茶会が催されている当日に 
そこで得た感動や感謝の思いを亭主に伝えることは 
正客(しょうきゃく)であっても、なかなかままなりません。

そこで、手紙を書いてみてはいかがでしょうか。
礼状をいただくと、ことのほか嬉しいものです。

ただ、目上のかたへの文など、いざ筆をとってみると
何を書いていいのやら緊張してしまいますね。
初めのうちは、いわゆる手紙のマナーにのっとったうえで
素直な感動の気持ちを1行加えるだけでもいいのです。
そうして書く機会を得ているうちに、こなれてきますよ。

最近、とても頼りになる本を見つけました。

贈答のしきたりと茶の湯の手紙
贈答のしきたりと茶の湯の手紙
(淡交社)

お茶事における前礼、後礼の文例のほかにも
熨斗袋(のしぶくろ)の種類や、水引の種類やかけかた
また相手への渡しかたの基本も図解で網羅されており
実用的で心強い1冊です。
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お茶会のマナー 16 ● 流儀が違うお茶会での振る舞い

茶の湯には、たくさんの流儀があります。
表千家・裏千家・武者小路千家の、いわゆる三千家のほかにも
かなりの流儀が存在します。
もちろん、それぞれ少しずつ点前や作法も異なります。

さて、自分が習っているのと異なる流儀のお茶会に招かれたら。
作法が違うからと消極的にならないで
あえてその違いを楽しみに出かけてはいかがでしょうか。

小堀宗実氏の 『茶の湯の不思議』 (生活人新書)に 
こんな心強いことばがありました。

「流儀の違う茶事・茶会に招かれたときは、
 自分が習っている流儀の作法でお茶をいただけばよいと思います」

「作法の違いに気をとられていたのでは、お茶も味わえませんし、
 慣れない作法を真似て粗相でもしたら、それこそ失礼に当たります。
 その意味では、流儀の違う茶会でこそ、
 普段の稽古や立ち居振る舞いが試されるのかもしれません。」

一期一会の交わりに感謝し、貴び、五感で楽しむ。
その精神に、流儀の垣根はないと考えたいものです。

なお、念のため、流儀が違うお茶事の案内状をいただいた際は
出席をお伝えする、亭主宛の 手紙 などに
一筆、その旨を記しておくとよいかと思います。

また、当日は事前に、正客(しょうきゃく)や隣席のかたに
流儀の異なることを伝えておくと、気を配っていただけますよ。
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お茶会のマナー 15 ● 手ぶらはNGです

最近は、大寄せの茶会に限らず 
案内状に会費が明記されることが多くなりました。

そうした場合には、当日までに新札を用意しておき 
祝儀袋に入れて持参します。

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和紙に木版手刷りの、封筒形の金封は便利ですよ。

さて、まだ茶事に慣れていない場合に困惑するのが 
会費が明記されていないケースです。

そもそも原則的には 
自分も後日、茶事を催して亭主を招き返すべきとされていますが 
初心者のうちは、なかなかそうもいきませんね。

ただ、招待とはいえ手ぶらというわけにはいかないものです。
ではお礼に贈りもの、というと、これがなかなか難しい。

一見、茶人に重宝がられそうな花や菓子、茶、香などは 
当日必ず用意されているものです。
中でも茶や菓子は、亭主の嗜好に合わないものを持参すれば 
かえってご迷惑にもなりましょう。

亭主の人柄や好みを具体的に知っているような 
気のおけない間柄でもない限り 
こうしたたぐいの品は避けておいたほうが無難かと思います。

一般的に、正式の(略式ではない)茶事のときには 
現金、あるいは商品券を用意するケースも多いようです。
会費制の場合と同様に、きちんと包んで 
「松の葉」 「粗酒」 などと表書きして持参します。

なにを、あるいはいくらぐらい持参すべきか見当がつかないなら 
ご一緒する人や、同じ亭主に過去招かれたことがある人に 
事前にリサーチしておくといいですね。


※ 参考文献
  『お茶事』 佐々木 三昧 (淡交社)
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