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朝日新聞 の生活面の
シニア世代向けコーナーと思われる 「55プラス」 という欄に
「お茶を楽しもう」 という全3回の小連載がありました。
インターネットで購読できるのは
残念ながら 朝日新聞デジタル(有料) のみのようですが
これからお茶に親しみたいな、というかたには格好の内容で。
抹茶(薄茶)をいただく際の作法についてや
自宅でおいしくお茶を点てるためのコツなどが
イラスト入りで平易に紹介されていました。
最終回の、お茶を点てるポイントについての記事で
技術的なものばかりでなく、その心持ちについて触れた箇所に
ちょっといいな、と思ったことばがありましたので
その部分だけ以下に引用させていただきます。
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まずは 「自分がおいしいと感じるお茶を知ることが大切です」 。
濃さや量、温度も好みや体調による。
そして、心をこめてたてる。
「大好きな人にぜひ飲んでほしい、と思うような
お茶をたてられるといいですね」 と先生。
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おいしいお茶になる基本、ごくあたり前のようでいて
なぜか忘れがちになってしまうのが、これなんです。
つまるところ、点てたお茶がいい感じになったかどうかは
自分の舌でたしかめるのが一番なんですけれど。
お稽古では一般的に、人が点てたお茶をいただくことは多くても
自分で点てたものを自服できる機会は少ないものです。
とくに初心者のうちは、緊張してしまったり
点前の手順で頭がいっぱいになったりで
お茶の味そのものがおろそかになってしまうことも。
お稽古を始めてから年月が浅くても
自宅でも日常的にお茶を点てて楽しむというかたのお茶は
不思議なもので、おいしいなと感じることが大半ですね。
これ、抹茶にかぎらず、煎茶などを淹れる場合も同じで。
よく、企業で淹れかた教室をさせていただくのですが
来客用に上級の煎茶や玉露を淹れて出す機会が多くても
そのお茶を自分では飲んでみたことがない、とか。
ここ何年も自宅では急須を使っていない、というかたもちらほら。
胸をはって、自分がおいしいと思えるものをお出しするのが
供応の根本でありたいと感じますし
そんな一杯にこめた気持ちは、うんちくの言葉を伴わずとも
きっと大切な相手に届くものと信じています。
節電の冬、到来です。
体をぽかぽかにしてくれるアルコールドリンクのひと工夫が
こんな記事で紹介されていました。
→ 「ウイスキーにジャム、ワインにシナモン
… 冬のほっとドリンク ― 「ちょい足し」 で美味」
(読売新聞 ヨミドクター 2011/12/06)
ポイントは、「ちょい足し」 だそうです。
記事中の、温めた赤ワインにシナモンといえば
バンショー(いわゆるホットワイン)でおなじみの組み合わせで
試したことのあるかたも少なくないかもしれませんね。
ウイスキーのお湯割りにジャム、というのは驚き。
それも、おすすめのジャムは 「リンゴ」 とのことで
そういえば、カルバドスやシードルなど
リンゴを原料に用いたお酒だって少なくないわけですから
これも案外しっくりきそうな。
ちなみに、ウイスキーのお湯割りには
シナモンやレモンの相性もなかなかのものですよ。
さて、面白いのが、最後のほうに書かれている
「紅茶もリキュールなどをちょい足しすれば、立派なホットカクテル」
になる、という提案。
茶葉から淹れた紅茶や、ペットボトルの紅茶を温めたものに
リキュールを少し落とすだけ、という手軽さがいいですね。
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キリンビールによると、ウイスキーとクリームを合わせた
「ベイリーズアイリッシュクリーム」 や
桃味の 「ピーチツリー」 など
同社が輸入するリキュールが温かい紅茶に合うそうだ。
紅茶はジンやラムなどとの相性もいい。
いずれも酒と紅茶の割合は1対4が目安だ。
「ベイリーズ」 は紅茶以外に
温かいウーロン茶やコーヒーに足してもおいしいそうだ。
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お茶とお酒、といえば、焼酎のお茶割りが定番中の定番ですが
フレーバーがついたお茶がさまざまあるように
洋酒との好相性をたくさん見つけてみるのも楽しそうです。
節電がさけばれているからでしょうか
この夏は 「冷やし茶漬け」 が注目されているようで
面白い記事をふたつ見つけました。
→ 「「冷やし茶漬け」 にお通じ改善、大腸がん予防、節電効果」
(外部サイト)
(NEWSポストセブン 2011/06/21)
→ 「夏バテ防止だけではない、意外な効果も
―― 節電の夏、「冷やしごはん」 ブームの兆し」
(外部サイト)
(japan.internet.com 2011/06/27)
余りごはんを、コンロなどを使わず調理できる冷やし茶漬けは
もちろん節電の味方というだけでなく
夏バテ気味のときでも比較的サラサラッと食が進むし
なにより簡単につくれるという点がありがたいですね。
記事のなかで、それ以上に興味をひかれたのが
ごはんが冷めるときにつくられるという
「レジスタントスターチ」 という難消化性のでんぷん。
難消化性、つまり消化に時間がかかるそうで
NEWSポストセブンによれば
「消化に時間がかかると、血糖値の上がり方がゆるやかになり、
インスリンというホルモンの分泌量が少なくなる」 のだそうです。
また、「食物繊維に似た効果があ」 るというメリットも。
このレジスタントスターチ、炊いたごはんを急速冷凍するよりも
ゆっくりと冷ましたほうが増えるといい
「常温まで冷ましてから冷蔵庫で保存」 するのがよいとか。
上記の記事にはそれぞれレシピもいくつか紹介されていますよ。
私は、冷やごはんと、冷水に溶ける 顆粒茶 との組み合わせで
さっそく今日の昼食に試してみようかと思います。
封を開けてしばらくたったのに飲みきれていないお茶や
残念ながら好みに合わなかったお茶。
弊社では、冬場は開封後1ヵ月で使い切ることをおすすめしていますが
風味が落ちたとはいえ、捨ててしまうのはもったいない。
いま時分でしたら お茶うがい に使うのもいいアイデアかと思います。
それから、身体があたたまる 茶粥 もいいですね。
暮しの手帖社の 『暮らしのヒント集』 にも、こんなことばをみつけました。
「少し香りの落ちたお茶は、捨てずに茶がゆに使いましょう。
使い道があると思えば、おいしくないお茶を飲むことはありません」
これは先日、奈良の 三山 さんでいただいたもの。
こうした奈良茶粥は ほうじ茶 を煮出してつくっているようです。
煎茶やウーロン茶、番茶でも、もちろんおいしくつくれます。
いずれにしても茶葉は、あとで漉す手間をはぶくために
ティーバッグやさらし袋などに入れておくといいですよ。
濃いめに煮出したお茶と、洗ったお米をあわせて、お鍋でグツグツ。
炊く時間は少々かかりますが、手間はそれほどかかりません。
調味は、お好みで塩少々だけ。
外食機会の多い年末年始。
胃にやさしく、味覚をリセットしてくれる一品としていかがでしょうか。
先日、「口茶(くちぢゃ)」 ということばの紹介記事 に
普通蒸しの 上級煎茶 の茶殻で
佃煮をつくるとなかなかおいしい、なんてことを書きましたが。
茶殻のさらなる用途を教えてくれる記事が、先日の 産経新聞 に。
コーヒーかすの利用法もいろいろあって、参考になりました。
上記のリンクから、興味のあるかたは読んでみてくださいね。
記事によれば、佃煮にするにはある程度の量が必要なので
「茶殻を絞ってラップに包み、冷凍庫で保存」 しておいて
たまったら、いっぺんに料理するとよいそうですよ。
茶殻って、いろいろ工夫すると料理の幅が広がって面白いのです。
記事ではチャーハンに入れるのをすすめていますし
私は野菜炒めや肉味噌に加えることもあります。
それから、カテキンの消臭作用を利用した、こんなアイデアも。
「二煎した後の茶殻はカフェインがほとんどなくなっている。
ペットの猫や犬に餌として与えればにおいがなくなります」
ペットのにおいにお悩みのかたは、いちど試してみては?
※ いままでに当ブログでご紹介した活用法も、どうぞこ参考に …
(活用法 1、2、3、4、5、6 回)
英国式ミルクティー に入れる牛乳の温度。
昨日引用した MSN産経ニュース の記事には
「低温殺菌牛乳を弱火で60度に温めたもの」
を使うのがポイント、とありました。
ただしこれ、本場イギリスのハイティーでは
温めず冷たいままテーブルに出されることが多いようで
林望さんの 『イギリスはおいしい』 に、こんなくだりがあります。
『イギリスはおいしい』
林 望
(平凡社)
「これは、必ず冷たくないといけません。
牛乳はあっためると臭いが変わってしまう。
それは必ずや紅茶の風味を損ねるので、
気を利かしたつもりで牛乳を温めたりする人がいますが、
間違いです」
はじめて読んだとき
この、「紅茶の風味を損ねる」 がゆえに牛乳を温めないのは
とても合理的な考えかたで面白いなと感じたものです。
ティーポットには、熱湯で抽出したアツアツの紅茶。
ミルクジャーには、冷たいままの牛乳。
濃厚な生クリームを少量、というわけではないから
いくら紅茶のほうがアツアツであっても
できあがったミルクティーはそれなりにぬるくなるわけで。
上等な玉露や煎茶を淹れた際の温度感に近いかもしれません。
さて、イギリスのお茶会といって筆者が思い出すのが、こちら。
『不思議の国のアリス』
ルイス・キャロル 作 矢川 澄子 訳
(新潮文庫)
この矢川訳では、めちゃくちゃ ということばにかけて
「め茶く茶会」 という洒落た見出しとなっている、第7章。
アリスと帽子屋、ウカレウサギ、ネムリネズミが
木かげの大きなテーブルを囲む不可思議なシーンです。
この部分をあらためて読み返してみましたら
「ウカレウサギがミルクつぼをお皿にひっくり返した」
なんて記述があって
イギリス生まれのアリスたちは当然ミルクティーなのでした。
ミルクつぼのなかの牛乳は、やっぱり冷たいのでしょうか?
10月17日付の MSN産経ニュース の記事。
英国式ミルクティーを家庭でおいしく淹れるための
コツやレシピが簡潔にまとめられていて、参考になりますよ。
紅茶好きのかたはぜひ読んでみてくださいね。
記事で挙げられている主なポイントは …
◆ カップに注ぐ順番は、紅茶よりも 「牛乳が先」 。
◆ 使う牛乳は 「低温殺菌牛乳」 がよい。
◆ 「紅茶6に対して、牛乳4が黄金比」 。
といったところ。
若かりしころ、イギリスに留学していた弊社社長も
ランドレディ(下宿先のホストマザー)に
牛乳は沸騰させてはいけないということと
カップにあらかじめ牛乳を注いでおくことを教えられたとか。
ロイヤルミルクティーは上品な軽やかさがあって
グツグツと茶葉を煮出すインドのチャイほど濃厚ではないけれど
お茶うけと合わせても重すぎないところもいいですね。
ちなみに、『世界を変えた6つの飲み物』 という本によると
お茶に牛乳をはじめて加えたのがヨーロッパ人でした。
苦みをやわらげたり、口あたりをよくしたり。
もしかすると、栄養価も考えられたのかもしれません。
面白いことに、カフェ文化の根づいているフランスでも
1650〜1700年ごろに貴族のあいだでお茶が流行したそうで
「風味を増し、温度を下げる目的」 で
やはりミルクティーがよく飲まれたといいます。
お茶の温度を下げる理由としては、やけど防止のみならず
舶来の 「磁器を保護するという意味もあった」 ようです。
熱々の飲みものを注いでパリンと割れることのないように。
ヨーロッパ製の硬質磁器が誕生したのが1708年。
それ以前、中国や日本から運ばれた硬質の磁器 が
かの地でいかにもてはやされていたかがうかがい知れる
興味深いエピソードでもありますね。