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  • 2016.03.31 Thursday

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夏時間の庭
監督:オリヴィエ・アサイヤス (2008 / フランス)

本作は 「オルセー美術館開館20周年記念作品」 で
作品中に登場する美術品のほとんどが
美術館に所蔵されている本物なのだそうです。

四季折々の花が彩る、広大な庭に抱かれた一軒家で
母の誕生日を祝うため久しぶりに集った
それぞれ独立し離れて暮らす3兄妹。

テラスでのお茶のひととき、その手には
1900年代初頭につくられたものであろう
ジョージ・ジェンセンの、優美な銀のティーセット。

屋内に目をやれば、コローやルドンの絵画が壁を飾り
書類が積まれたアール・ヌーヴォーの書斎机はマジョレル。
使用人のエロイーズが、庭の花を無造作に飾る花器は
実は銅版画家のフェリックス・ブラックモンの作だったり。

名のある画家であった大叔父の
美術品のコレクションとして登場するこれらは
本作の陰の主役といえるでしょう。

掌に包まれ、あるいは生活の息吹のかたわらで
登場人物たちと同じように息をしているかのごとくみえる
それらの品。

だから1年後の母亡きあと、その遺志どおりに
美術館に寄贈された品々が展示室でみせる
眠りについたかのような無機的な静けさが
たまらなく胸に沁みるのです。

ところが観終えてみて。
それでも、不思議と温かい気持ちになったのはなぜでしょう。

表向きには、3兄妹の財産分与の話で
喪失感や切なさを内包するテーマでありながらも …

幸せなひとときの記憶。
互いによりかからず自立し、変化に後ずさりすることのない
登場人物たちのたたずまい。
ラストシーン、少女が垣間見せる未来へのきざし。

こうして思いかえすほどに、また余韻は深まるのです。
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  • 2016.03.31 Thursday 16:55

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