栄西の『喫茶養生記』 のなかで
「茶は養生の仙薬なり…」と紹介された、お茶。
酒酔いがぬけ、消化を助け、利尿効果がある、などなど
お茶が体を壮健にすることを説いた書物です。
これ以降、そんな薬効を期待してか
御家人などの富裕層を中心に、お茶が珍重されていきます。
『喫茶養生記』には、お茶の製法も記されているのですが
これは、現在でいうところの抹茶です。
ただし、碾茶(てんちゃ=抹茶の原料となる茶のこと)の
鎌倉期のころの栽培・製造技術は、まだまだ未発達でした。
今日のものほど風味豊かで、甘みを感じられるものでは
おそらくなかっただろうと思われます。
まさしく、“良薬、口に苦し”だったでしょうね。
ところで、抹茶は「一服、二服…」といいますね。
お茶会では、亭主が「一服さし上げます」とあいさつしたり。
この、一服、二服という数えかたは
かつて、お茶が薬のように親しまれていた名残なのです。