『びいどろ・ぎやまん − 江戸時代の和ガラスの粋と美 −』
於・
石川県能登島ガラス美術館(石川・七尾)
2008年7月19日(土)〜9月29日(月)
能登半島の七尾湾に浮かぶ、能登島に
公立としては国内初のガラス専門美術館があります。
今は亡き建築デザイナー・毛綱毅曠(もづなきこう)氏が
青龍・白虎・朱雀・玄武の “四神相応” にもとづき設計した
他に類をみない、複雑かつ曼荼羅的な空間。
そこに抱かれるガラスは、より造形の魅力を増すように見えます。
現在は、江戸時代に国内でつくられた和ガラスの優品
約100点を集めた企画展が開催されています。
今展リーフレットによると
日本ではじめてガラス器がつくられたのは、17世紀中ごろの長崎。
ヨーロッパや中国からもたらされた魅力的な新素材は
わずか1世紀強で、一般へと広く普及し
独自の技術や多様なデザインを生み出していきました。
印象的な一品は、切子で格子文が大胆にほどされた丸形三段重。
着色していない無垢なガラスに入れられた切子模様の
光の回りかたの、なんとまろやかなこと。
どんな人が、どんな用途で使ったのでしょうか。
夏場に菓子器にすると、さぞ涼やかなことでしょう。
そのほか、鉢や皿、碗などといった器の小品から
装身具、文具、インテリアにいたるまで。
今でいうタオルハンガーのような、手拭掛けもありました。
形や用途のヴァリエーションの広さも、ガラスならではですね。
なお、ピカソやダリ、シャガールなどの原案により制作された
イタリアのユニークなガラス彫刻作品や
中国清朝の宮廷を彩った、麗美な乾隆(けんりゅう)ガラスなど
常設展示もなかなかの見ごたえでした。