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  • 2016.03.31 Thursday

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お茶のことのは ● 茶出し(ちゃだし)

  「急須(きゅうす)」 のこと。
            ― 大辞泉 増補・新装版(小学館)より ―

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  

急須 の別名なんですね。
機能そのもののネーミング、お茶を出すから 「茶出し」 。

ちょっとぶっきらぼうな感じもすることばですが
けっこう昔から使われていたようで
近松門左衛門の浄瑠璃などにも出てきます。

       *   *   *  

ちなみに、急須。
同じく 『大辞泉』 には、次のように説明されています。

「 《もと中国で、酒の燗(かん)をした注ぎ口のある小鍋》
 湯をさして茶を煎じ出すのに用いる、取っ手のついた小さい器。
 きびしょ。茶出し。」

ここにあるように、中国で急須の原形となったのは
銅器や陶磁器の酒注・水注などだと考えられています。
明代に入り、急須が使われるようになりました。

日本に 煎じ茶 がもたらされたのは江戸期で
同じころに急須も入ってきたのでしょう。

ただし、急須の原形となった酒注・水注のたぐいは
早くから渡来していたといいます。

もしかすると、歴史に名を刻むことのなかった誰かさんが
自家用茶 のおいしい飲みかたを考えるうちに
創意工夫で、台所道具の水注あたりを
お茶を煎じる道具として活用していたかもしれませんね。


※ 参考文献
  『緑茶の事典 改訂3版』 (柴田書店)

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以前言及しました 栽培の北限 問題。
気温の上昇による農業への影響が心配されています。

こんな記事が載りました。

【生きもの異変 温暖化の足音】(72)今は昔の八十八夜
(6月29日付 産経新聞

茶樹は元来、亜熱帯植物ですから
多少の温度変化でしたら木自体は耐えられるでしょう。

ただ、問題は、茶葉の収量や、食品としての質の低下。
記事にもあるとおり、それをもたらすマイナス要素のひとつは
摘みとり前年の 「夏の天候」 なのです。

「夏は翌年の一番茶の土台となる芽が伸びる
大切な時期にあたる」 ので
猛暑、干ばつ、ゲリラ豪雨などによるダメージは
次の春に顔を出す新芽の品質を大きく左右するのです。

野菜茶業研究所 のコンピューターシュミレーションでは
気温が 「2度上がると静岡県や鹿児島県では適地が広がり
4度上昇では西日本の日本海側でも栽培しやすくなる」 とか。

栽培に適した土地が広がるならば、メリットに感じますが …
実はそればかりではないようなのです。

現に、日本一はやく新茶を届けてくれる
九州の南の島の 「種子島や屋久島では、
暖冬年に新芽の不ぞろいが発生している」 といいます。

足音はもう、すぐそこまで迫っているのかもしれません。

       *   *   *  

ところで、この話題に補足して。

お茶の木が吸収・固定できる 「CO2の量」 は
一体、どれくらいだと思います?

「お〜いお茶」 の伊藤園が昨年発表した測定結果によれば

「茶樹1株あたりのCO2吸収・固定量は約5キログラム」
「1ヘクタールの茶園では約92トン」 (ともに換算値)

と考えられるのだそうです。
(ただし当然、茶園造成〜生産時のCO2排出もあります)

ちなみに、日本全体でのCO2排出量は
2006年度データで12億7360万トンといいます。
茶園が吸収・固定できる量など、ごく一部にすぎません。
  
温暖化対策は長い年月を要するでしょう。
来月の主要経済国フォーラム(MEF)首脳会議の争点は
世界全体での温室効果ガスの排出量を
「2050年までに半減」 とすることだそうです。

エコポイントを呼びものに消費行動をうながすこの国では
悲しいかな、その数字の達成はおろか
首相が先日表明した2020年までの国内削減目標
「2005年比15%減」 も容易ではないかもしれません。

排出量削減に、国や大企業の主導は不可欠ですが
なにを消費し、どんな暮らしを営むかは生活者次第です。
その小さな点が集まれば、大きな原動力になると信じたい。

いま、個人の知恵が試されているような気がしてなりません。

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静岡市内の茶商らが名を連ねる
静岡茶商工業共同組合運営のお茶コーナーが
明日の27日、いよいよオープンします。

静岡の玄関口、JR静岡駅の至近。
駅北口地下広場に新設される
観光案内所 「しずチカ情報ポケット」 内です。

研修をつんだスタッフが急須で淹れたお茶と
お菓子がセットになって、500円。

静岡は、全国に知られたお茶どころでありながら
気軽に立ち寄っていただけるような日本茶カフェが
静岡駅の近くにはほとんどありませんでした。

ていねいに淹れた煎茶のおいしさは、ひときわ。
来静の際には、ぜひお立ち寄りくださいね。

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二番茶 取引が終わると、もう6月も終盤。
お中元のご用命をいただく時季となりました。

200811201534000.jpg

お中元を贈るのは7月初旬〜15日までが一般的です。

ただし、西日本など、月遅れで8月に贈るところもあるため
贈り先様が暮らす地域の習慣を
あらかじめリサーチしておくのをおすすめします。

内容は、いわゆる “消えもの” が主流ですね。

お中元のころになると、よくいただくご質問が
「相手が喪中のときに贈ってもいいか」 。

これ、基本的には 「さしつかえない」 のです。

日ごろのお世話への感謝の意を表すお中元は
喪中であれ、贈ること自体は問題ないといわれています。

ただし、それでも気になるのが人情。
それならば、たとえば贈るタイミングをすこし後ろにずらして
「暑中御見舞」 の控えめな表書きにしたり。
先様の状況に応じた配慮をするとよいかと思います。

       *   *   *  

さて、弊社のギフト推奨品は
ホームページ の 「お詰合せ」 ページでご紹介しております。
お品物が未定でしたら、ぜひご覧くださいませ。

ひとつひとつ心をこめて包装いたし
ご希望日に確実にお届けさせていただきます。

なお、「お贈り先様への直接お届け」 も可能でございます。
先様への、弊社からの直接配送に限り
1配送(荷重1kgまで)につき、送料は以下のとおりになります。

● 北海道  525円
● 沖縄および離島地域  945円
● その他の地域  一律350円
(※ 荷重が1kgを超える場合は 通常の配送料 となります)

ただし、この場合の商品代金のお支払方法は
「郵便振替」 か 「銀行振込」 の前払のみとなります。
あらかじめご了承ください。
詳しくは、「注意事項」 ページをご一読ください。

また、お贈り先様が複数の場合や
表書きやのしの種類に詳細なご指定をいただけます場合は
オンラインショッピングでは記入欄に限りがございますので
ご面倒ですが お問合せフォーム から
お気軽にお問合せ・ご相談くださいませ。
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200906241053000.jpg
中央食品工業(長野・諏訪)製 「諏訪湖豆」

こんなガラスの保存ビンに入れると
その純白が、ひときわ魅力的に映ります。

諏訪の郷土銘菓、諏訪湖豆。

香ばしい大豆に、360度くるりと砂糖がけしただけの
ごくごく素朴な豆菓子です。
原材料は 「大豆・砂糖・澱粉」 のみ。
まるで、シンプル・イズ・ベストを形にしたような。

アーモンドなどに砂糖がけした洋菓子、ドラジェにも
なんとなく似た雰囲気がありますが
こちらのほうが、あっさりと軽やかな食味。
食べはじめると、とまらなくなってしまいます。
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今月19日の朝日新聞に
「カフェイン、認知症状を改善」 という記事が載りました。

同内容が22日付で 朝日新聞HP にも紹介されていますが
これによると、埼玉医大の森隆准教授ら日米のチームが

「コーヒーなどに含まれるカフェインが
アルツハイマー病の認知症状を改善するとともに、
患者の脳に沈着する異常なたんぱく質が作られにくくする」

ことを、マウス実験で確認したとか。

アルツハイマー病を発症したマウスに
カフェインを混ぜた水を1カ月飲ませたといいます。
このカフェイン量は、人間で換算すると
「1日当たりコーヒー5杯に相当する」 そうです。

マウス実験段階とはいえ、明るいニュースです。
ただ、カフェインはご存じのとおり 覚醒作用 がありますし
コーヒーにして5杯分、抹茶(お薄)なら6服くらいを
毎日とるのは大変かも … ?

ところで、カフェインと脳の関係、いえば
カフェインが記憶力の増強にはたらく という報告も
昨年、当ブログでご紹介しました。

また、緑茶に限っていえば
カテキンが認知症予防の一助になる とか
脳の老化を予防する ともいわれています。

コーヒーや緑茶といった嗜好性飲料は
ありがたいことに、単に嗜好品の枠をこえて
私たちの健康維持に寄与してくれているのかもしれません。

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結婚式の多い6月、一昨日の 朝日新聞 土曜版に
こんな気になるランキングが掲載されていました。

「結婚披露宴 良かった引き出物」

良かったもの、困ったもののうち、上位は以下のとおりでした。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 ● もらって良かった引き出物

  1位  カタログギフト … 1522票
  2位  バウムクーヘン・ケーキ  … 693票
  3位  お皿  … 482票
  4位  お酒・ワイン  … 238票
  5位  洋風グラス  … 204票

 ● もらって困った引き出物

  1位  お皿 … 821票
  2位  花びん  … 424票
  3位  ティーカップ  … 411票
  4位  洋風グラス  … 404票
  5位  鍋  … 306票


※ 朝日新聞の無料会員サービス アスパラクラブ サイト上で
  3113人におこなったアンケートの集計結果
  (49選択肢のなかから3つまで選択の複数回答)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

この結果、これから式を挙げるカップルには
かなり参考になるのではないでしょうか。

披露宴の招待客は、友人から親戚関係までさまざま。
世代も、好みもずいぶん異なりますから
無難なカタログギフトが断トツで1位なのもうなずけます。

このところ、カタログの中身の充実ぶりはすごいですね。
選ぶ楽しさが増えてきたように感じます。

でも、ギフトボックスを開ける瞬間のワクワクもいいものです。

引き出物に限らず、ギフト選びって
贈る相手のことを知ったり、想いやったり
さらには、自分のセンスを磨いたりするのに
とってもいい機会だと思うのです。

私もそうしましたが、最近は相手にあわせて
「贈り分け」 をするカップルが増えているとか。
自分のために選んでくれた姿を想像し、いとおしさもひとしお。
それが自分の趣味にピッタリはまると、いっそう嬉しくなります。

       *   *   *  

ところで、「良かった」 ものの9位に 「紅茶・日本茶」 が。
「軽い」 「日持ちする」 等が支持の理由だとか。

ちょっと驚きの結果です。
日本茶は古くから 葬儀 とのかかわりが密接なため
九州地方などの一部地域 をのぞき
それほど慶事には用いられてきませんでしたから。
最近ではご用命も増えてきてはいますが …

だから、174票の内訳としては
日本茶より紅茶の比率が多いかと思われます。

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今日は、すこし長くなりますが
先週末の松本への旅でめぐった、おすすめの場所を
ほかにも3か所ほど、かいつまんで …

       *   *   *  

まずは、旧開智学校。

200906130908000.jpg

いただいたしおりによると
今から130年以上も前の1876(明治9)年に竣工し
1963(昭和38)年まで、90年ちかくにわたり
小学校として用いられた建物です。

西洋風のたたずまいが、今みてもおしゃれ。

驚くことに、地元松本の大工棟梁が建てたそうですよ。
和洋混交の “擬洋風建築” です。

200906130908001.jpg

正面玄関、可憐な天使が学校の名を掲げる、その下では
勇ましい龍が門番。
ディテールもなかなか凝っています。

ところが、なかに入ると意外や質実なつくり。
静岡県松崎町にある、おなじく重文の 岩科学校 が
内部も鏝絵(こてえ)でふんだんに装飾してあるのに対し
こちらはあくまで、教えの場としての機能重視と感じました。

現在は教育博物館として活用されています。

       *   *   *  

そして、松本民芸館。

200906131011000.jpg

ここの創設者は、故・丸山太郎氏。
中町通りの 「ちきりや工芸店」 を営むかたわら蒐集した
世界中の手仕事のものが展示されています。

「美しいものが美しい」

とは、氏がのこした珠玉のことば。

「その説明があって物を見るより
 無言で語りかけてくる物の美を感じることの方が大切です」

だから、展示品に過分なキャプションはありません。

開館直後におじゃましましたが
スタッフさんによって拭き清められた簡素な空間が心地よく
展示される手仕事のものたちの無垢な美しさが
いよいよ増すように感じられました。

200906131011001.jpg

前庭の道祖神、仲むつまじく。
松本や安曇野には、道祖神の多いこと。

       *   *   *  

すこし足をのばして、安曇野へ。
穂高駅にほど近い、大好きな碌山(ろくざん)美術館。

200906141052000.jpg

複数の建物で構成されているなかの一棟
1958(昭和33)年の開館当時からある本館です。
よく焼きしめた、深い色あいのれんがを積んだ
ごく小さな西欧教会風のつくりが印象的です。

本館には、日本近代彫刻の先駆者・荻原守衛(碌山)の
作品や資料が展示されています。
代表作の 「女」 や 「デスペア」 もこちらに。

結ばれえない女性の面影が宿るような作品をのこし夭折した
碌山の心のうちが、静かに充満しているかのような
すこしひんやりとした、館内。

ほかの美術館とはひと味ちがう静謐(せいひつ)が
なんとも強い再訪への引力をたたえています。

そして、この静けさと、高原の涼風のせいでしょうか。
ここでばかりは、茶商の私も
お茶ではなく、澄みきった清水でひと息つきたくなるのです。
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その松本市美術館 の正面玄関では
松本出身、草間彌生の大きな作品が出迎えてくれます。

200906131246000.jpg

歩を進め、エントランスホール脇でサプライズ。
コカ・コーラ社の自動販売機が
あの無限の水玉でおおわれていました。

200906131245000.jpg

2005年のサイン入りですね。

あれ、いちばん上の段。
美術館限定デザインのコーラ缶かしら? と思いきや

200906131245001.jpg

「最上段は非売品です。」

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『柳宗理展 ― 手から生まれた、くらしのかたち ―』
於・松本市美術館 (長野・松本)
2009年5月16日(土)〜6月28日(日)

この展示のポスターやチケットに用いられていた写真が
柳宗理(やなぎ・そうり)氏が1954年にデザインした
エレファント・スツール、通称 “象脚” です。

氏が館長を務めていた 日本民藝館 にて
以前、なにかの講演会に参加したところ
この象脚が、広間にだーっと並べられていました。
その、リズミカルなことといったら。

スタッキングできることや、比較的軽いことも
数を揃えたいこの手の施設では、メリットが大きいでしょう。
でも、それよりなにより、あの民藝館のもつ雰囲気に
木や陶でなくファイバーグラス製の、黒一色のスツールが
意外やぴったりマッチしていたことに驚かされました。

しかし、見れば見るほど美しい曲線。
下記の、公式サイトのバナーでも
その一端をお感じいただけるのではないでしょうか。

↓ 柳宗理公式サイト ↓



       *   *   *  

氏のプロダクトデザイン最大の魅力は
やはりその、無駄をそいだ三次元的な曲線にあるのでは。
そうあらためて感じさせられたのが、今回の企画展です。

家具のほか、掌サイズのカトラリーや台所道具。
そして街に出れば、トンネルや高速の防音壁、聖火台まで。
その仕事の振り幅に、あらためて驚かされます。

湯呑や急須、土瓶、やかん、ティースプーンなど
そういえば、お茶まわりの品も多種つくられていますね。

「本当の美は生まれるもので、つくり出すものではない」

試作をつうじ、「なるたけ自然の摂理に従」 って
デザイナー自身の手が、用途に即して考えたその結晶が
わたしたちの生活に清新な潤いを与えてくれる幸せ。

真に美しいものとはなにか
実際に使ってみることで、我々にも答えが見つかるのでしょう。

一方で宗理デザインは、求めやすい価格も魅力で
たとえば、2003年秋の 『季刊 銀花』 柳宗理特集号には
黒柄カトラリーのスプーンが 「下請け11社、工程数50余り。
20人もの職人の手を渡る」 と紹介されていました。
それが1本あたり千円台、おそれいります。

稀有なデザイナーの細やかな注文を、真摯に受けとめる
日本の職人たちの技量の高さも、また大したものですね。

「工業デザイナーという肩書きは嫌だなあ。
 ただの “街のデザイナー” でいい」

無銘をよしとし、デザインに個性の投入を求めず。
現代の 「用の美」 と感じます。
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