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近ごろ 「白湯ダイエット」 なるものが人気だそうで
ヤフーで検索してみたら、出るわ出るわ、数十万件。
方法としては、至極簡単ですね。
寝起きと、朝昼晩の食事の際に、1杯ずつ
体温よりすこし高めの白湯をゆっくりと飲む、というもの。
明らかな体重減少につながるかどうかはともかく
インドのアーユルヴェーダの考えに基づくという、この方法は
日本古来の養生法にも共通する、からだへのいたわりです。
とくに、冷たいものばかりとりがちになる夏場には
内臓を適度にあたためつつ代謝を高めることは
冷房病や夏バテを防ぐ一助になるかもしれませんね。
日本古来の養生法、といえば。
貝原益軒の 『養生訓』 に、こんな文章があります。
(講談社学芸文庫版より引用)
「湯は熱きを冷まして、よき比(ころ)の時のむはよし」
熱く沸かしたお湯は、冷ましてから、ほどよい温度で。
そのまま、白湯ダイエットに通じるものがあります。
また、ほかにはこんな記述も。
「夏は伏陰(ふくいん)とて、陰気かくれて腹中にある故、
食物の消化する事おそし。多く飲食すべからず。
温(あたたか)なる物を食ひて、脾胃(ひい)をあたゝむべし。
冷水を飲べからず」
中医学などでいう 「陰気(陰の気)」 が体内にひそむ夏。
冷たいものではなく、あたたかなものを飲食して
消化器系の器官をあたためるのがよい、との教えです。
ところで、その中医学においては
緑茶は身体を冷やす性質の 「寒性」 といわれますね。
外出時のクールダウンには、冷茶は好適ですが
冷房のきいた室内などでは、身体の声に耳を澄ませながら
あたたかいお茶もバランスよく飲んでみてください。
一昨日の 日本経済新聞 に
こんな見出しの記事が載っていました。
「強い香り まといたい 柔軟剤や制汗剤/男も香水
体臭に過敏 抑制に躍起」
(7月28日付)
さりげない香り、ほのかな香りではなく
「周囲に伝わるような強い香りを身にまとう人が
増えている」 というのです。
香りが強い、または香りに持続性のある柔軟剤や
香料入りの制汗剤、男性向けの香水まで
「香り」 がキーワードのヒット商品は多いようです。
そういえば、柔軟剤の売り場で
香りを確かめられるテスターを目にするようになったのも
最近の傾向なのでしょう。
個人的には、あまり強い香りのものは得意ではないので
かならず確認してから購入するようにしています。
日経の調査で
「香水や衣類の柔軟剤で香りを身にまといたいか」
との質問に対する回答で
「周囲に明らかに伝わるようにしたい」
「周囲にかすかに伝わるようにしたい」 をあわせると
なんと、5割近くにのぼったといいます。
ただ、柔軟剤や制汗剤はともかく
香水は、つけ続けると自分の鼻が慣れてしまうので
「かすかに」 のさじ加減、難しいんですよね。
電車やバス、公衆トイレといった、公共の密閉空間で
香りにむせるような経験をしたかたは少なくないでしょう。
私もかつて、誰も乗っていないエレベータで
どうしてこんなに、というほどの強い残り香につつまれ
気分が悪くなったことがあります。
ほのかに香っていれば素敵な香水も、度をこすと
人によっては芳しくないにおいと感じる ―
人間関係にも多分に影響を及ぼしてしまう、香りの世界。
面白くも皮肉なところですね。
なお、以前書きましたように
お茶やお香の繊細な香りを楽しむお茶会には
香水や香りの強い化粧品などは禁物 です。
日本茶カフェや日本料理店でも、ぜひ同様の配慮を。
今のように湿度が高い時季は、香りがこもりますから
強い香りの柔軟剤の使いすぎにも留意したいものですね。
人気アイテム 「粉末ダージリン紅茶」 に
新たに、個人のお客さまにもお求めいただきやすい
100g入が加わりました。
● 100g袋入 … 840円(税込)
インド産ダージリン紅茶の風味や薫りをそこなわぬよう
抹茶製法を応用し、石臼で挽いております。
わずか4ミクロンの非常に微細な粒子ですから
製菓材料としてもおすすめです。
ザラッとした粒感なく、生地にしっくりとなじみます。
もちろん、香料や着色料は一切使用しておりません。
防湿性や遮光性の高いアルミ素材の
チャック付スタンドパックにお詰めして、お届けいたします。
1杯飲みきり、分封タイプの
丸玉製茶オリジナル顆粒茶 「ISSEN(いっせん)」 に
新しく、烏龍茶が仲間入りしました。
冷水にもお湯にも溶けやすく、香味濃厚。
そのままはもちろん、製菓材料としてや
焼酎の “ウーロン割り” の素としてもおすすめします。
サイズは、業務用と小売サイズの2タイプです。
● 業務用 1,000包入 … 7,875円(税込)
● 100g入(個包装紙込) … 1,050円(税込)
※およそ90〜100包入っています。
詳細情報は ホームページ をご覧くださいませ。
ぜひ訪れてみたかった、信楽町の MIHO MUSEUM 。
設計は、ルーブルのガラスのピラミッドなども手がけた
中国系アメリカ人のI.M.ペイです。
観光として考えれば、立地は不便な山中。
バスの運行は1時間に約1本、山道をくねくねと。
しかし、人里はなれた山のなかだからこそ可能であろう
浮世離れしたユニークな空間にひたれます。
こちらは、受付やレストランが入ったレセプション棟。
美術品を展示する美術館棟へ行くには
必ずここを経由します。
まるで、現在の企画展 「仏たちの物語」 の序章のように
蓮の鉢がしつらえられていました。
風にゆらめく蓮華の向こうにみえるのが
レストランの 「Peach Valley」 。
運営母体の自然農法ガイドラインに基づく食材で
シンプルに調理された、パスタやおむすび膳など。
レストランを目当てに訪れる人も多いと聞きますが
食してなるほど、そのわけがよくわかりました。
天然酵母のパンや、人気の豆腐は持ち帰りも可能です。
さて。
お目当ての美術館棟は
レセプション棟からすこし離れたところにあります。
整備された並木道やトンネル、橋を渡ったさらに奥。
徐々に人里の喧騒から離れ
美術館棟という非日常の空間へと続く道程は
露地から茶室へのアプローチに通ずるところがあります。
7人乗りの無料カートが随時往復しています。
私は、行きの上り坂ではカートを利用し
帰りの下り坂は、せっかくなので散策してみましたら
ゆっくり歩いても10分足らずのほどよい道のりでした。
見えてきた美術館棟は
山すそにちょこんと抱かれ、かわいらしい入母屋造。
建物がずいぶん小さくみえますが …
実は、「建築容積の80%以上を地中に埋設し、
建物の上にも自然を復元してい」 るそうです。
入館すると、左右へ伸びやかに広がる通路。
現在の特別展は、上記の 「仏たちの物語」 と
「オクサスのほとりより」 のふたつ。
また、宋時代のやや華奢な耀変天目をはじめとする
茶の湯の道具の小展示も一室で行われていました。
ところで、展示、建築、食事とともに
もうひとつここに特筆しておきたいのが
ぜんぶで3つあるミュージアムショップ。
それぞれ、さほどの広さはないものの
図録やオリジナルグッズといったお決まりの品に加え
展覧会のイメージにあわせた作家作品などもあり
そのラインナップも、またセンスがいいのです。
私は、安藤雅信氏の銀彩ピューター皿を購入しました。
9月からの秋季特別展は 「若冲ワンダーランド」 。
新発見、初公開となる 「象と鯨図屏風」 が目玉です。
静岡県から滋賀県への遠路ですが
近いうちにまた訪れることになりそうです。
宇治の丸久小山園が京都市内に昨年オープンした
二条城近くの 西洞院店 に行ってきました。
町家を改装した、素敵な空間。
売店の奥には、茶房 「元庵」 を併設しています。
京都に数ある茶房のなかでも、ここはおすすめです。
簡素に整えられた坪庭に面する、静かなスペースで
ゆっくりとお茶をいただくことができます。
表通りに面さず、席数が少なめなのも嬉しい。
この日は、あたたかい抹茶(お薄)と上生菓子のセットを。
つめたい抹茶を選ぶこともできますよ。
あたたかいお薄のお茶銘は 「雲鶴(うんかく)」 。
きめ細やかな泡の加減で、舌へのあたりもなめらか。
一碗に、スタッフさんの研鑽のほどもうかがえます。
祇園祭の山鉾でしょうか、お茶碗も夏景色。
そして、地元の菓子舗から仕入れられる上生菓子は
いくつかのなかから好みのものをチョイス。
この日は、二条駿河屋さんの葛焼をいただきました。
メニューは、お茶、甘味ともに幅広く
洋菓子党さんには、抹茶を使ったアイスクリームや
ふわっふわのロールケーキなどもあります。
また、濃茶(こいちゃ)もいただくことができ
たしか、お菓子とのセットで1500円だったと思います。
お茶事ではなく、こうした茶房で気軽にいただけるなんて
おそらく京都でも珍しいのではないでしょうか。
* * *
※ 丸久小山園の商品は弊社にてもお取扱いしております。
詳しくは お問合せ ください。
連休を利用して、京都へ。
苔の緑がつややかに美しい、大原 三千院 にて
魅力的な石仏にお会いしてきました。
にぎわう往生極楽院や、はなやぐ紫陽花苑をぬけ
律川(りつせん)という小川をわたった先に、ひっそりと。
花こう岩でしょうか、柔和な石の肌が
包まれたくなるような温感をかもしています。
無地の光背(こうはい)の輪郭は、左右非対称。
ひとつの自然石から彫りだされたのでしょう。
2メートルを超える高さの石仏ですから
もとの石塊の大きさたるや!
鎌倉中期の作といわれる、この阿弥陀様は
三千院サイトの説明によると
「おそらく欣求浄土(ごんぐじょうど)を願った
この地の念仏行者たちによって作られたもの」
なのだそうです。
* * *
ところで、ひとつ気になったことが。
いただいたリーフレット掲載の境内図には
「阿弥陀仏」 とか 「大原の石仏」 とかでなく
「売炭翁(ばいたんおう)石仏」 と記されていました。
「売炭翁」 って、いったい誰 … ?
お茶の世界でいったら 売茶翁(ばいさおう) のような
たとえば、かつての炭焼き名人とか … ?
不思議になって伺ってみましたら
現在、この石仏がある一帯には
中世のころ、炭竈(すみがま)があったそうで
炭焼きに従事する職能民が多く暮らしていたとのこと。
だから、 売茶翁のように
特定の人物をさす固有名詞ではないようです。
余談ですが、大原といえば 「大原女(おはらめ)」 。
彼女たちが頭にのせているものといえば
農産物や、薪(たきぎ)というイメージがありますが
かつては、この地で焼かれた炭を頭上に
洛中へと行商に向かったそうですよ。