トップページ > ブログ「お茶まわり」
桜と、お茶。
真っ先に思い出されるのが、豊臣秀吉のお花見です。
京都の 「醍醐(だいご)の花見」 が有名ですが
それに先がけて催した、奈良の吉野山での宴も
実ににぎやかで豪奢なものだったと伝えられています。
お花見というと、今日的には
ある一ヵ所に場を決めての酒宴を想像しますね。
しかし、熊倉功夫氏の 『小堀遠州茶友録』 によると
秀吉の宴は 「花見の途中山中の各所に茶屋をつくらせて、
これを巡回するという趣向」 の
“遊山(ゆさん)茶の湯” とでもいうべきものだったそうです。
しかも驚くことに、秀吉の伝記 『太閤記』 には
「秀吉公、例之作り鬚(ひげ)に眉作らせ鉄黒(おはぐろ)なり、
供奉(ぐぶ;お供)之人々、我もと美麗を尽し、
わかやかなる出立なれば、見物群集せり」
という記述があるそうです。
まるでご一行、仮装行列のごとき意表をつく姿だったとか。
名だたる武将、茶人、連歌師など数千人もが
そんなふうな格好で、大行列で遊山しているさまを思うと
圧巻、壮観を通りこして、なんだか可笑しくもあります。
秀吉って、やっぱりカブいてますねー。
中野せんべい本舗(青森・弘前)製 「津軽せんべい 小丸」
南部せんべいによく似ていますけれども
津軽地方でつくられるものは、津軽せんべいというそうです。
この手焼きせんべいには、久々にたまげました。
媚びのない実直な風味で、実においしい。
昨今は、過剰なくらいの “みみ” がついたものが多いなか
これはキッパリさっぱり落としてあるところも好きです。
「小丸せんべい」 は、直径が6センチ程度で
ちょっとしたお茶うけや、来客用にもほどよい量感。
手前がピーナッツで、かりっと堅めのクッキー生地。
奥のごまは、伝統的な小麦粉せんべいで
上面にぎっしりの黒ごまが香ばしい仕上がり。
ともにほどよい塩気があって、ほうじ茶 に抜群の相性です。
ホームページなどもない、ごくごく小さなお店のようですが
この 「小丸せんべい」 でしたら
青森市の むらた工芸 さんのサイトでも購入できますよ。
ストレス解消、じゃなかった、商品の梱包に
毎日お世話になっております。
川上産業 の 「ダイエットプチ」 は
従来品よりちょっと軽くて、ロールの直径も小さめで
出荷センターも大助かりです!
「プチプチ」 という、ユルいユルい呼び名は
実は、その川上産業の商標なんですってね。
今朝の 朝日新聞 国際面の記事で、初めて知りました。
ご本家のアメリカでは、もちろん 「プチプチ」 ではなく
シールドエア社の登録商標 「バブルラップ」 が
もっとも知られた呼び名だとか。
そのシールドエア社が、この画期的な緩衝材をうみだして
今年でちょうど50年になるのだそうです。
けっこう歴史が古いものなんですね。
無数のまるい気泡が整列する、独特なかたち。
それをひらめいたのは 「出張帰りの機内で
窓越しに、ボコボコした小さな雲の波を眺めていて」 というから
なんとも心憎いじゃありませんか。
プチプチつぶしてストレス解消、ばかりか
つぶさずに、飛行機からの眼下の雲を重ね、心の旅をするのも
ちょっとした気分転換になるかもしれませんね?
たった30分の放送時間なのに
お茶にたずさわる自分がハッとさせられること多々でした。
NHKの 「課外授業 ようこそ先輩」 です。
著名人が母校をおとずれて
後輩たちのために授業をおこなう、あの番組です。
一昨日21日放送の “先輩” は、茶人の千宗屋さん。
卒業を翌月にひかえた6年生の子どもたちは
ほとんどが茶の湯の未経験者。
数人ずつのグループにわかれて
正客(しょうきゃく;メインゲスト)役のクラスメートのために
自分たちでお茶会を開いてみる、という趣向でした。
正客役の友だちに喜んでもらえるように
その友だちの好きなものごとを、もてなしのテーマに。
かしこまったお道具はあえて用いないし、普段着のまま。
学校のなかの、どこかふさわしい場所を選んで。
… そんな条件のもと準備されたお茶会は
どれも自在なアイデアと、懸命な心づくしが感じられて。
たとえば、野球好きの友だちのために
野球のネットでぐるっと囲んだ空間を用意してみたり。
まさに結界!
教室を暗くしてプラネタリウムを映写したグループは
偶然とはいえ、お茶室の宇宙的な広がりを具現化して。
約束ごとにしばられない伸びやかな発想に驚かされます。
友だちが 「喜んでくれてうれしかった」 とか。
お茶会を 「人と仲良くなるためのステップ」 と思ったとか。
日ごろお茶を学んでいる者、お茶でもてなす立場の者が
いつも根っこの部分に有していなければならない気持ちを
子どもたちが簡潔なことばで教えてくれました。
NHKオンデマンド で今月31日まで視聴できるそうです。
見逃したかたは、ぜひ。
3月は去る、といいますが、早いもので。
藤枝でも桜が開花しました。
桜の便りを聞くと、お茶の春ももうすぐ。
「特選新茶」 をご案内する季節がやってきます。
さっそく、ちらほらとお問合せをいただいておりますが
商品の詳細につきましては、4月上旬より
ホームページ にてお知らせいたします。
(第2週ごろを予定しております)
恐れ入りますが、もうしばらくお待ちください。
なお、今年も
「極上 蓬莱(ほうらい)」
「極上 常磐(ときわ)」
「特上 玉響(たまゆら)」
「上 千歳(ちとせ)」
「田舎仕立て」
の5つのランクをご用意させていただく予定です。
掛川市北部の冷涼な山あいの地で育まれる
うまみがグッとのった “山のお茶” ならではのおいしさを
ノンブレンドにてお届けいたします。
起伏にとんだ山間地の茶園は
平地のような、大型の機械を導入しての栽培は不可能です。
摘みとりにしても、こつこつと
人の手で、あるいは手鋏(てばさみ)を用いておこないます。
そのため、申しわけないことに多くはご用意できないのです。
いずれもご予約優先の数量限定とさせていただいております。
なお、2009年4月1日〜2010年3月末日のあいだに
弊社でショッピングをしていただきましたお客様には
4月中旬までに、あわせて郵送でもご案内いたします。
どうぞお楽しみに。
『永遠(とわ)に花咲く庭
― 17-19世紀の西洋植物画 ―』
於・名古屋ボストン美術館(愛知・名古屋)
2009年12月12日(土)〜2010年4月4日(日)
展覧会の図録くささ、のようなものを感じさせない
英文カタログの簡素な美しさにも感動しました。
日本語の翻訳がのる小冊子がセットになって。
17〜19世紀にかけて
ヨーロッパ植物画の黄金期を紹介する企画展です。
しかし、版画、だったのですね。
この表紙の1枚、《アマリリスの1交配種(ヒガンバナ科)》 も。
スチール・エングレーヴィングという
鋼鉄の版を用いる技法で制作されたものでありながら
花弁や葉の、やわらかくニュアンスのある陰影が
実にフレッシュに表現されていること!
生気がただようかのようです。
この展覧会では、植物画の多くが
1枚ずつ額装されたかたちで紹介されているものの
もともとは本、植物図譜のなかの1ページなのだそうです。
出版物ですから、ひとつの図版を量産するために
銅版画などに彩色をほどこしたものが多いのです。
江戸期の浮世絵版画の出版物が
やはり今日、1枚ずつばらして鑑賞されたりするのに似て。
ヨーロッパで、それまでの木版にかわり
細部までより精密に表現できる銅版へと移行したのが
この会場でいちばん最初に紹介される17世紀前半ごろ。
おおむね時代順に構成された展示では
版画技法の進化と
植物表現の深化が見事にリンクしているのも面白く
予想以上に見ごたえがありました。
日本から紹介され、19世紀ヨーロッパで愛好されたという
椿の図譜も魅力的。
日本人が描く椿にはない絢爛さに、どぎまぎしますよ。