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  • 2016.03.31 Thursday

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オキーフの家
オキーフの家』 
マイロン・ウッド 写真   クリスティン・テイラー・パッテン 文
江國 香織 訳
(メディアファクトリー)

アメリカ・ニューメキシコ州の荒涼の地にある
アドービ(日干しレンガ)の、潔く簡素な住まい。

画家、ジョージア・オキーフが98歳で世を去るまで
晩年の40年近くを過ごした家です。

写真集の依頼をことわり続けたというオキーフが
90歳をこえて撮影を許可したのが、この1冊。
日本の出版社から出た数少ないオキーフ本のひとつです。

モノクロームの写真から立ちのぼる、侘び住まいの美しさ。
虚飾のない静謐(せいひつ)な空間に心打たれます。
光の、風の、土と花の香りの、すぐそこに。

この写真集によせられたエッセイが、また秀逸で。
最晩年の彼女とともに暮らし、身のまわりを世話した
クリスティン・パッテンによる回想録です。

パッテンが、視力のおとろえた彼女に
しょっちゅう読まされたというのが、なんと 『茶の本』 。

日本の茶の湯を欧米の人に紹介するため
岡倉天心が英語でつづり、アメリカで出版したこの本を
彼女は愛読していたといいます。

「花について描かれた箇所がいいわ。
 彼は花というものをよく理解していた。
 ねえ、知ってる?
 彼はチョウチョは羽根のある花であるって言ってるのよ。
 すてきな考え方じゃない?」

そういえば、世俗を離れて暮らしたアドービの住まいは
一見、小屋のように質素な茶室のありかたと似て。

日本人にオキーフのファンが多いといわれるのも
かの地を訪れた知人の誰もが、その家を 「素晴らしい」 と語り
オキーフの作品をますます好きになるのも
彼女の暮らしや作品からうかがえる 「裸の目と心」 に
本質的な意味での 茶味 のようなものを感じるからでしょうか。

『茶の本』 には最近、平易な訳のものも様々ありますから
ぜひこの写真集とあわせて読んでみてくださいね。
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桜と、お茶。

200904031920000.jpg

真っ先に思い出されるのが、豊臣秀吉のお花見です。

京都の 「醍醐(だいご)の花見」 が有名ですが
それに先がけて催した、奈良の吉野山での宴も
実ににぎやかで豪奢なものだったと伝えられています。

お花見というと、今日的には
ある一ヵ所に場を決めての酒宴を想像しますね。

しかし、熊倉功夫氏の 『小堀遠州茶友録』 によると
秀吉の宴は 「花見の途中山中の各所に茶屋をつくらせて、
これを巡回するという趣向」 の
“遊山(ゆさん)茶の湯” とでもいうべきものだったそうです。

しかも驚くことに、秀吉の伝記 『太閤記』 には

「秀吉公、例之作り鬚(ひげ)に眉作らせ鉄黒(おはぐろ)なり、
供奉(ぐぶ;お供)之人々、我もと美麗を尽し、
わかやかなる出立なれば、見物群集せり」

という記述があるそうです。
まるでご一行、仮装行列のごとき意表をつく姿だったとか。

名だたる武将、茶人、連歌師など数千人もが
そんなふうな格好で、大行列で遊山しているさまを思うと
圧巻、壮観を通りこして、なんだか可笑しくもあります。

秀吉って、やっぱりカブいてますねー。

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強風のなか、けなげに。

201003261430000.jpg

二十四節気をさらに3つずつに分けた七十二候では
今日は 「桜始開(さくらはじめてひらく)」 にあたるそうです。

開花のたよりが極端に早かった今年ですが
ここ数日は厳しい花冷えで
ふくらんだつぼみも身をちぢめたままの状態でした。

静岡は今日も冷えますが晴天。
近くの並木の桜も、少しずつ開いてきたもよう。

今週末は、咲きはじめの花を愛でながら
野点(のだて)なんかもいいですね。

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201003251421000.jpg
中野せんべい本舗(青森・弘前)製 「津軽せんべい 小丸」

南部せんべいによく似ていますけれども
津軽地方でつくられるものは、津軽せんべいというそうです。

この手焼きせんべいには、久々にたまげました。
媚びのない実直な風味で、実においしい。
昨今は、過剰なくらいの “みみ” がついたものが多いなか
これはキッパリさっぱり落としてあるところも好きです。

「小丸せんべい」 は、直径が6センチ程度で
ちょっとしたお茶うけや、来客用にもほどよい量感。

手前がピーナッツで、かりっと堅めのクッキー生地。
奥のごまは、伝統的な小麦粉せんべいで
上面にぎっしりの黒ごまが香ばしい仕上がり。
ともにほどよい塩気があって、ほうじ茶 に抜群の相性です。

ホームページなどもない、ごくごく小さなお店のようですが
この 「小丸せんべい」 でしたら
青森市の むらた工芸 さんのサイトでも購入できますよ。

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ストレス解消、じゃなかった、商品の梱包に
毎日お世話になっております。

201003241013000.jpg

川上産業 の 「ダイエットプチ」 は
従来品よりちょっと軽くて、ロールの直径も小さめで
出荷センターも大助かりです!

「プチプチ」 という、ユルいユルい呼び名は
実は、その川上産業の商標なんですってね。
今朝の 朝日新聞 国際面の記事で、初めて知りました。

ご本家のアメリカでは、もちろん 「プチプチ」 ではなく
シールドエア社の登録商標 「バブルラップ」 が
もっとも知られた呼び名だとか。

そのシールドエア社が、この画期的な緩衝材をうみだして
今年でちょうど50年になるのだそうです。
けっこう歴史が古いものなんですね。

無数のまるい気泡が整列する、独特なかたち。

それをひらめいたのは 「出張帰りの機内で
窓越しに、ボコボコした小さな雲の波を眺めていて」 というから
なんとも心憎いじゃありませんか。

プチプチつぶしてストレス解消、ばかりか
つぶさずに、飛行機からの眼下の雲を重ね、心の旅をするのも
ちょっとした気分転換になるかもしれませんね?

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たった30分の放送時間なのに
お茶にたずさわる自分がハッとさせられること多々でした。

NHKの 「課外授業 ようこそ先輩」 です。

著名人が母校をおとずれて
後輩たちのために授業をおこなう、あの番組です。

一昨日21日放送の “先輩” は、茶人の千宗屋さん。

卒業を翌月にひかえた6年生の子どもたちは
ほとんどが茶の湯の未経験者。

数人ずつのグループにわかれて
正客(しょうきゃく;メインゲスト)役のクラスメートのために
自分たちでお茶会を開いてみる、という趣向でした。

正客役の友だちに喜んでもらえるように
その友だちの好きなものごとを、もてなしのテーマに。
かしこまったお道具はあえて用いないし、普段着のまま。
学校のなかの、どこかふさわしい場所を選んで。

… そんな条件のもと準備されたお茶会は
どれも自在なアイデアと、懸命な心づくしが感じられて。

たとえば、野球好きの友だちのために
野球のネットでぐるっと囲んだ空間を用意してみたり。
まさに結界!

教室を暗くしてプラネタリウムを映写したグループは
偶然とはいえ、お茶室の宇宙的な広がりを具現化して。

約束ごとにしばられない伸びやかな発想に驚かされます。

友だちが 「喜んでくれてうれしかった」 とか。
お茶会を 「人と仲良くなるためのステップ」 と思ったとか。

日ごろお茶を学んでいる者、お茶でもてなす立場の者が
いつも根っこの部分に有していなければならない気持ちを
子どもたちが簡潔なことばで教えてくれました。

NHKオンデマンド で今月31日まで視聴できるそうです。
見逃したかたは、ぜひ。

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3月は去る、といいますが、早いもので。
藤枝でも桜が開花しました。

桜の便りを聞くと、お茶の春ももうすぐ。
「特選新茶」 をご案内する季節がやってきます。

さっそく、ちらほらとお問合せをいただいておりますが
商品の詳細につきましては、4月上旬より
ホームページ にてお知らせいたします。
(第2週ごろを予定しております)
恐れ入りますが、もうしばらくお待ちください。

なお、今年も
 
 「極上 蓬莱(ほうらい)」
 「極上 常磐(ときわ)」
 「特上 玉響(たまゆら)」
 「上 千歳(ちとせ)」
 「田舎仕立て」

の5つのランクをご用意させていただく予定です。

掛川市北部の冷涼な山あいの地で育まれる
うまみがグッとのった “山のお茶” ならではのおいしさを
ノンブレンドにてお届けいたします。

起伏にとんだ山間地の茶園は
平地のような、大型の機械を導入しての栽培は不可能です。
摘みとりにしても、こつこつと
人の手で、あるいは手鋏(てばさみ)を用いておこないます。

そのため、申しわけないことに多くはご用意できないのです。
いずれもご予約優先の数量限定とさせていただいております。

なお、2009年4月1日〜2010年3月末日のあいだに 
弊社でショッピングをしていただきましたお客様には
4月中旬までに、あわせて郵送でもご案内いたします。
どうぞお楽しみに。

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季刊銀花2010年03月号
季刊 銀花
2010年 春 第161号
(文化出版局)

高校生のころ、ちょっと背のびして通っていた
コーヒーのおいしい街なかの喫茶店に
この雑誌のバックナンバーが並んでいました。

杉浦康平さんの表紙デザインに
書店で平積みされている他の雑誌とは違うものを感じ
はじめて手にとった1冊は
自分が生まれる前に出版された号でした。

“古くならない” 雑誌の存在に、ちいさな衝撃をうけて
最新号を楽しみにその喫茶店に通うようになり。
やがて自分で購読するようになって、以来十数年。

残念ながら、今号をもって休刊となるそうです。

知ったときのショックといったらありませんでした。
出版業界の厳しさは周知のことですが
この凛とした雑誌だけはずっと続くものだと
きっと、勝手に思いこんでいたんですね。

最新号をゆっくりと読みながらお茶をする時間が
暮らしにぽっかり欠け落ちることの、心もとなさ …

ものを生み出す人、その手の姿をも伝えてくれた
稀有な存在に、ありがとうございました。
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あんなこともあるんですね。
鶴岡八幡宮の大銀杏。

私は1月の末に訪れ、偉容を仰いだばかりでしたので
このニュースを聞いたときには驚きました。

移植した根元が傾いたというニュースを伝える
今朝の朝日新聞の記事 の写真に、また痛々しさをおぼえ。

鎌倉3代将軍 源実朝 暗殺の舞台となった “隠れ銀杏” 。
悲しい歴史物語をも伝える名木でもあり
とくに地元では、保存を望む声が大きいのでしょう。

いまの樹姿のみせる違和感に、直視がつらいものの
多くの人の尽力を思うと
やはり根の再生を期待せずにはいられません。

ところで。

鶴岡八幡宮のほかにも
神社やお寺には、銀杏の老木が多いと思いませんか?

その理由を、以前、佐野藤右衛門さんの
桜のいのち 庭のこころ』 (草思社) で知ったのですが
実は、火よけの役割があったのだとか。

銀杏の木や、その厚い葉は水分を多く含むそうで
そのため、境内に植えておくと
建物に火がまわるのをくいとめる効果があるといいます。

ほんとうに 「水を吹く」 かまでは定かではないものの …
今日、私たちが黄葉の美観を満喫できるのは
いにしえの生活の知恵の副産物でもあったんですね。
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『永遠(とわ)に花咲く庭
 ― 17-19世紀の西洋植物画 ―』
於・名古屋ボストン美術館(愛知・名古屋)
2009年12月12日(土)〜2010年4月4日(日)

201003161204000.jpg

展覧会の図録くささ、のようなものを感じさせない
英文カタログの簡素な美しさにも感動しました。
日本語の翻訳がのる小冊子がセットになって。

17〜19世紀にかけて
ヨーロッパ植物画の黄金期を紹介する企画展です。

しかし、版画、だったのですね。

この表紙の1枚、《アマリリスの1交配種(ヒガンバナ科)》 も。
スチール・エングレーヴィングという
鋼鉄の版を用いる技法で制作されたものでありながら
花弁や葉の、やわらかくニュアンスのある陰影が
実にフレッシュに表現されていること!
生気がただようかのようです。

この展覧会では、植物画の多くが
1枚ずつ額装されたかたちで紹介されているものの
もともとは本、植物図譜のなかの1ページなのだそうです。
出版物ですから、ひとつの図版を量産するために
銅版画などに彩色をほどこしたものが多いのです。

江戸期の浮世絵版画の出版物が
やはり今日、1枚ずつばらして鑑賞されたりするのに似て。

ヨーロッパで、それまでの木版にかわり
細部までより精密に表現できる銅版へと移行したのが
この会場でいちばん最初に紹介される17世紀前半ごろ。

おおむね時代順に構成された展示では
版画技法の進化と
植物表現の深化が見事にリンクしているのも面白く
予想以上に見ごたえがありました。

日本から紹介され、19世紀ヨーロッパで愛好されたという
椿の図譜も魅力的。
日本人が描く椿にはない絢爛さに、どぎまぎしますよ。

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