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  • 2016.03.31 Thursday

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ベッカライ・ヨナタン(京都)製 「クルンクン」

以前 ビスコッティ チョッコラート をご紹介させていただいた
京都の自家培養酵母のパン屋さん、ヨナタンさん。

渦巻きがかわいらしいこのクッキーもヨナタンさんのもので
弊社の定番お茶うけのひとつです。
静岡では、パルシェ内のナチュラルハウスさんで取り扱っています。

クッキー生地にくるりと巻かれた色の濃い部分は
有機のレーズンやプルーンなどが入ったフィリング。
食感はかっちりとややかため、さくさくした歯触りのよさがあります。

国産小麦、てんさい糖、平飼い卵、純粋蜂蜜 … 等々
用いる素材はシンプルかつ、あたり前のように吟味してありつつ
噛めば噛むほどに甘さやうまみを濃厚に感じます。

お菓子選びって、本当に個々人の好みや考えかた
それから当然、体質や、そのときどきの体調次第でしょうけれども。
卵や甘味、動物性脂肪をことごとく排除して
粉のうまみだけをぼそぼそ噛んでいるような気分になるものは
お茶うけとしては、個人的にはあまり手がのびないものですから …

これも、自然食品店に並んでいるということで
逆に敬遠されるかたもいらっしゃるかもしれませんが
バランス感覚に秀でた味づくりと感じます、ぜひ試してみてくださいね。

弊社では今日もお三時に ほうじ茶 か 紅茶 とともにいただきます。

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『棟方志功 祈りと旅』
於 ・ 静岡市美術館 (静岡)
2011年2月11日(金・祝)〜3月27日(日)
香川県立ミュージアム 、福岡県立美術館 に巡回します。

201102191836000.jpg

県内で棟方志功のまとまった作品が観られる機会としては
2006年の 浜松市美術館 以来でしょうか。

鎌倉にある 棟方板画美術館 所蔵の優品を中心に
全国6ヵ所を巡回する、大規模な展覧会なのだそうです。
「祈り」 「津軽」 「旅と文学」 「文人画家の多彩な芸業」
の四部で棟方の画業をたどる構成となっています。

川上澄生の影響が濃厚な、初期のかわいらしい小品から
《釈迦十大弟子》 をはじめとする板画(はんが)代表作の数々。
また、故郷の津軽を題材とした肉筆画や、小説の挿画など
静岡展では77件、点数にして約330の作品が並びます。

一柵(さく)12m超、棟方最大の作品という 《大世界の柵》 など
大きめの作品や屏風仕立てのものもけっこうあって
作品によっては空間の圧迫感が気になるのが唯一残念でしたが
これは仕様のないことでしょう。

東北地方で信仰される神様、オシラサマを描いたという
《飛神(とびがみ)の柵》 を観た瞬間、驚きのあまり落涙しました。

男女一対の神が画面いっぱいいっぱいに飛翔する
ダイナミックを通りこして窮屈さすら感じさせるような構図。
背景の彩色が、鮮やかなのにどこか闇をはらんだような赤で
顔や手足の透明感ある白や、体躯の黒との対比がまばゆくて。

単に救済のシンボル、というよりも
観る者の苦難やひたすらな祈りをも共有してくれるような
混沌をすべて抱くがごとき二神なのです。
なんとも去りがたく、魅力的でした。
また、会期中に会いにいきたいと思っています。

それから、個人的に嬉しかったのが
彼と交流のあった河井寛次郎と浜田庄司の作品が数点あったこと。

私にとって、彼ら民藝同人のうつわを拝見した機会といえば
このとき もそうだったのですが
駒場の 日本民藝館 はじめ “それらしい” 空間がほとんどで。

民藝館、大好きなのですけれども。
できれば、民藝の文脈から外れたひたすら無機質な白い空間で
彼らのうつわ、とくに茶碗を拝見してみたいと思っていましたので
数碗であれ、それがかなったのが嬉しかったのです。

銘 「愛染丸」 の辰砂(しんしゃ)碗など、非常によかったです。
茶碗としては器形が朗々としすぎるきらいはあるものの
今まで出会った寛次郎の辰砂のうつわのなかで好みの釉調でした。

こちら、19時まで開館しています。
週末でも夕方は静かで人出も多くなく、ゆっくり鑑賞できましたよ。

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今日は、若輩者として少々口幅ったいようですが
ここ数年もやもやしてきたことを、少しだけ書かせてください。

お茶会には、少人数のみでおこなう正式なお茶事のほかに
大勢が一堂に会す 「大寄せ(おおよせ)茶会」 があります。
その多くが、薄茶(うすちゃ)点前のみの簡略化したもので
気軽に催せる、かつ参会できることで津々浦々に普及しています。

ただ、個人的に大寄せは好きではありません。
マナーの悪さや色の洪水に目をおおいたくなること度々だからです。

大寄せが一年でもっとも多く催されるであろう新年の昨月
異なる茶家の先生がたが、その点について言及されていました。

まずは、裏千家・千宗室家元の 「家元指導方針」 より。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 私の若い頃、京都も含め各地に女傑と称される先生が存在しました。
 …(中略)…
 そういう先生に共通しているのは 「後姿でも指導している」 ことです。
 大寄せ茶会の折でも
 待合から本席までその場に臨む姿勢が変わらない。
 すなわち、待合も席中である、
 ここから既に茶会は始まっているとの覚悟を示しておられた。
 …(中略)…
 待合で声高に世間話をし、
 案内があるやいなや脱兎(だっと)の如くなってしまうのが
 当たり前のようになりつつある昨今、
 もしこの場にあの女傑の先生が存命だったらと思うことがあります。
 事実、「茶道を学びたいけれど、
 あの席入りの様子を見るとお茶の先生って上辺だけの人みたいで」
 とのご意見が近年増えてきています。
   (茶道裏千家淡交会総本部 『淡交タイムス』 2011年1月号より)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「後姿でも指導」 する女傑、グッときます。

家元自ら、同門の、とくに指導者層へ向けて
あえてこうした厳しいことばを投げかけられているということ自体が
病巣の根深さを示しているのではと悲しくなりました。

また、武者小路千家の次期家元、千宗屋さんは
朝日新聞のインタビュー記事のなかで以下のように語っています。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 一度に何百人も呼ぶ 「大寄せの茶会」 はしても、
 少人数の正式な茶事をしている方は現在少ないのでは。
 茶事をしない宗匠もいるといいます。
 「茶事こそ茶人の本番だ」 と語る父の背中を見て育ちました。
 大寄せの時代は終わりました。
 着物姿で緊張した人がずらっと並んで
 右や左を気にしながらお茶をいただくのは、
 本来の姿ではありません。
   (1月15日付 朝日新聞 土曜版 「フロントランナー」 より)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

カルチャースクール化した茶の湯再生の若きキーマン、宗屋氏。

お茶事をしない教授者がいるのは事実ですし
実のない年中行事と化した大寄せが減ることも望みます。

ただ、お稽古を始めたばかり、あるいは始めてみたいかたにとって
正式のお茶事に招かれる好機はそうはないわけで。
おそらく一般的に、地方にいればその機会はさらに少ないため
大寄せは、熟達したお点前やいいお道具を拝見することがかなう
格好の場という側面を持ち合わせているとは思います。

ぜひ、そんな方々に、あの人を目標に励みたいなと感じさせる
先輩として、茶人としての凛たる姿を見せてあげてください。
同じ茶を愛する者からのお願いです。

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快楽の効用
快楽の効用 ― 嗜好品をめぐるあれこれ
雑賀 恵子
(ちくま新書)

オビには

「酒、煙草、お菓子etc.
 なくてもいいのに、摂らないほうがいいのに、なぜ欲しがるの?」

というコピーが。

この問いかけにはいつも考えさせられます。
茶業にたずさわる者にとって、自分たちが送り出すお茶こそ
栄養摂取という観点からすれば
もしかしたら、あってもなくてもいいかもしれないものだからです。

(そういった意味では、昨今は含有成分の研究が進んで
日本茶が健康的な飲みものといわれるようになり有り難いですが)

お茶のほか、コーヒーやお酒、たばこ、砂糖、カカオ。
それから香辛料や、今日では清涼飲料あたりも。

「栄養やエネルギー源としてさしたる役割をもつわけでもな」 く
ものによるかもしれないですけれど、戦時下などの非常時に
食糧作物に比べ生産量が大きく落ちこむ 傾向がありながらも
やはり廃れることなく在りつづけているものたち。

そんな 「嗜好品」 についての刺激的な考察に満ちた、この本。
とくに、昨今とりわけ悪者扱いされるようになってきた
砂糖を中心とする甘みについて、多くのページがさかれています。

一読したところ、括弧つきの 「健康」 が裏キーワード。 
嗜好品を、ちょっとした嗜み、楽しみとしてうまくつき合い
ほどほどの心地よさ、ひいては自分の 「望ましい健康」 に繋げていく。
そのバランス感覚を養ってくれる、格好の一冊かと思います。

ちなみに。
お茶についての言及も、やはりありました。

なかでも、18世紀以降のヨーロッパ、とりわけイギリスで
お茶が広く庶民階級にまで普及していく背景について
はっとすることが書かれていました。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 現在のわたしたちが想像するように、ある程度の優雅な習慣、
 息抜きのひとときの口休めというわけではなく、
 醸造酒や牛乳などといったものよりも、
 茶葉と砂糖(精白していない粗糖)の方が安かったからである。
 かれらが飲んでいるのは、品質が悪く安価なものであって、
 それでいて、砂糖でカロリーを期待できる
 (もちろん、カロリーという概念で摂取されたのではないだろうが)、
 そのためのものだったのである。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

お茶の広がりの歴史を語るとき、今まではこの視点が足りなかった!

労働者層や貧民層が砂糖入りのお茶を口にするようになった背景に
当時の生水の考えられないほどの不衛生さと
お茶・砂糖のコストパフォーマンスの向上があったといいます。

産業革命を経て汚染された河川から飲料水をとるのは危険なため
人々は、乳製品や醸造酒を飲みものとしていたといいます。

安く手に入るようになった、しかも保存性の高い茶葉と砂糖が
それらととって代わるようになるのも自然な流れだったことでしょう。
もちろん、甘みと苦みの入りまじる独特の風味や
カフェインの覚醒作用にも魅力を感じていたのかもしれませんが。

私ども、嗜好品としてのお茶のヨーロッパ伝播に
とかくロマンティックな匂いを漂わせたくなるのがいけませんね。

この本には、そういった意味での気づきも満ちています。
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藤枝のおとなり、焼津(やいづ)にある古社、焼津神社。
(静岡県神社庁による紹介ページは こちら です)

お茶とは関係のない話になりますけれども
実は先日初めて行った際に、非常に気になるものがありまして。

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拝殿正面の、細めになわれた注連縄(しめなわ)。
波うった格好でかかげられているのです。

『日本書紀』 の、草薙(くさなぎ)の剣のくだりで知られる焼津の地。
そういう由縁から、主祭神は日本武尊(ヤマトタケルノミコト)です。

ただ、焼津は海にのぞむ有数の港町。
むしろ古来から 「入江大明神」 の通称で親しまれてきたといいます。
実際に焼津の地形は入り江で、より海に近しい印象を受けます。
漁業関係者が多く、漁に霊験あらたかな神として信仰されてきました。

そういうことでいえば、やはり注連縄、波のかたちでしょうか。
あるいは、他社でよくみられる蛇を象ったものかとも思いましたが。
どんな由来があるのでしょうね?

余談ですが、境内にはヤマトタケルの石像も。

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昭和59年、地元の篤志家によって寄贈されたとか。

焼津のヤマトタケルは、ちょっといかついオッサンなのでした。
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『所蔵 名品展   国宝 紅白梅図屏風』
於 ・ MOA美術館 (静岡・熱海)
2011年1月28日(金)〜3月23日(水)

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まるで初詣のように毎春のお楽しみとなっているのが
この時季だけ展示される 尾形光琳 《紅白梅図屏風》 に会いにいくこと。

さらには、野々村仁清 《色絵藤花文茶壺》
手鑑(てかがみ)の 《翰墨城(かんぼくじょう)》 の計3件の国宝を含む
毎年恒例の所蔵名品展がMOA美術館で開催中です。
名品展、と謳うにふさわしいラインナップだと感じます。

上記のうち、藤花文の茶壺については
ふだんの常設展示でも拝見できる機会が多いのですが
この名品展では、仁清作のほかの茶道具もいくつか並ぶことが多く
個人的にはそれも嬉しかったりします。

瀟洒(しょうしゃ)、ということばがぴたりとはまる、仁清のうつわ。
精密かつ華麗な色絵のお道具たちに、春の華やぎが重なります。

いや、絵付けの秀逸さはいうまでもないものの
実物を拝見するたびにうならされるのが、むしろ轆轤(ろくろ)の冴え。

入れ子式の、色違いのふたつのお茶碗 《色絵金銀菱文重茶碗》
口縁の円に満ち満ちた、やわらかな緊張感や
胴まわりのごくごく控えめな、しかし絶妙のみなぎり加減など
拝見するほどに冴えた心地をもたらしてくれます。
仮に、じかに触れることが叶ったら、どんなにか興奮するだろう、と。

一見シンプルなこういう形状こそきっと、轆轤の巧拙は隠しがたく
当世あまた流通している写しなど、似て非なるものと思ってしまいます。
ぜひ仁清の手指の巧みさを感じてみてくださいね。

ところで、施設内の梅園や庭も美しく、色づいていましたよ。

こちらの梅は、手入れが行き届いているのみならず
視界に興ざめにさせるようなものが一切入らないので
(ありがちな濃い桃色のぼんぼりとか、開催を知らせる派手な看板とか)
澄んだ心持ちで花を愛でることができて、これまた嬉しいのです。

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柏水堂(東京・神田神保町)製 「フレービスキュイ」

漫画 “ハチクロ” にも登場したケーキ 「プードル」 で有名な
洋菓子の老舗、柏水堂さん。

バタークリームの懐かしいような味のするそれもおすすめですが
おそらくご存じのかたも多いでしょうから
今日はこちらのクラシックなクッキーをご紹介させていただきます。

ホテルニューグランドさんのクッキー などと同じく
長く受け継がれてきたレシピでかっちりと焼かれた
油脂分のあまりきつくない、食味の比較的あっさりとしたタイプです。

上の小缶のタイプで、味も形もさまざまな16種が詰められています。
これで3,500円くらいでしたか。
最近、クッキーが缶のなかに整列した様子を偏愛してやまないため
今回はふんぱつしてこちらを買い求めましたけれども
小袋やプラスチックケース入りの手軽なタイプもありますよ。

紅茶ほうじ茶 のおともに。
コーヒーでしたら、これには焙煎の強すぎないものが合いそうです。
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お茶のことのは ● 茶山(ちゃやま)

  <1> 茶の木を植えてある山。
  <2> 茶を摘むこと。茶摘み。
            ― 広辞苑 第六版(岩波書店)より ―

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読んでそのまま、茶園の広がっている山という意味です。

「唄はちゃっきりぶ〜し〜 男は次郎長〜♪」 の名文句ではじまる
静岡を代表する新民謡 「ちゃっきりぶし」 の2番の冒頭にも
「茶山 茶どこ〜ろ〜 茶は縁どこ〜ろ〜♪」 との歌詞がみられます。

ただ実は、静岡では 「茶山」 という言いかたはさほど一般的ではなく
九州のあたりでよく使われることばだと聞きます。

その静岡で馴染みのうすい 「茶山」 ということばが
静岡ゆかりの民謡の歌詞に使われているのも
このとき、静岡鉄道の依頼を受けて作詞を手がけたのが
福岡県出身の北原白秋だったからでしょう。

なお、<2> のように
「茶山する」 といえば、山での茶摘みそのものを表したようですね。

元禄期、蕉門の俳諧集である 『猿蓑(さるみの)』 には
「信楽(しがらき)や 茶山しに行(いく) 夫婦(めをと)づれ」
という句がおさめられています。

茶摘みの最盛期は、地域やお茶の品種によっても異なりますものの
平均的には立夏のすこし前の 八十八夜 のころですから
「茶山」 は春の季語になるのだそうですよ。

ちなみに不思議、「新茶」 ということばになると夏の季語 なのです。
茶園で摘んだ新芽を、茶農家や私どものような製茶問屋が製して
お客さまのお手元に届くまでに数日を要するからでしょうね。
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檀ふみの茶の湯はじめ
檀ふみの茶の湯はじめ
檀 ふみ
(アシェット婦人画報社)

お茶をこれから習ってみたいというかた、とくに女性に
私がよくおすすめする本が、有吉玉青さんの 『お茶席の冒険』
稽古場の雰囲気、音やにおいなんかも非常にリアルに感じられて。
文庫版巻末の、檀ふみさんによる解説がまた名文なのです。

檀さんは意外や、茶の湯にずっと縁がなかったそうですが
ちょうど 『お茶席の冒険』 の解説文を書いた時期に
雑誌 『婦人画報』 の連載をきっかけとして
茶道に入門し、お茶のさまざまを学び始められていました。

その連載がまとめられたのが、本日ご紹介する 『茶の湯はじめ』 。

入門から1年余り、大徳寺で座禅をし、光悦会で茶道具の名品に触れ
茶碗や菓子、茶花、懐石などそれぞれの道の第一人者に教えを受け
初茶会を開くまでの記録です。
檀さんの筆致は軽やかでいいですね、あっという間にひきこまれます。

第16章、「檀ふみに捧げる茶会」 が垂涎。
いわゆる今日の “普通の茶会” を普通と思いこんでいる
私たちの心身の錆を、これでもかと快いばかりに落としてくれます。

コレクターとしても著名な 「実業家のI氏」 が檀さんに贈った茶会は
たったひとりのためにオーケストラの演奏がお迎え。
寄付には、アニッシュ・カプーアの満月のようなオブジェがしつらえられ
食事のたおやかな空間にはセザンヌや藤田嗣治がかかり
しかし濃茶のしつらいは一転、漆黒の部屋に小谷元彦 《スケルトン》 が。

そんな空間で感じる、樂茶碗のなかの茶の色、喫する茶の味は
一体いかなるものなのでしょうか。
伊勢氏おそるべし …

もとが婦人誌に掲載されたものですから、内容の制約もあるのでしょう。
お稽古のこと細かな様子などは、ほとんど表面に露出しませんけれども
とにかく、写真が豊富かつ美しい。
檀さんの和服の着こなしも粋で勉強になりますし
目のつけどころによって様々な愉しさを与えてくれる一冊です。

『茶の湯はじめ』 というタイトルでありながら
いわゆるお稽古の入門書というのではなく、茶の核心を見せてくれます。
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『チョコレートの甘い香り』 展
於 ・ 磐田市香りの博物館 (静岡・磐田)
2010年12月18日(土)〜2011年4月3日(日)

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今日はバレンタインデーということで、こちらの企画展をご紹介。

チョコレートの歴史をはじめ
効能や製法などもパネルなどでざっと追えるようになっていて
小ぶりな展示なので、お子さまでも楽しめる内容かと思います。

7〜8種でしたか、「世界のカカオ豆の香り比べ」 が面白かったです。
利き茶ならぬ、利きカカオ豆。
産地によって、香りの質にけっこうな違いがあることにびっくり。

チョコレートの宣伝用につくられたポスターや
かつてヨーロッパで用いられたポットやカップも展示されており
マイセンやデルフトによる陶磁器のポットには、特に惹かれました。

そう、今日は食べるイメージの強いチョコレートですけれども
発祥のメソアメリカでも、それを受容した時期のヨーロッパでも
もとは、すりつぶしてお湯に溶かして飲んでいたんですよね。

チョコレートの来歴をひもといてみると
初期の飲用のかたちや、ヨーロッパにおける受容の過程などは
お茶に通じるものがあるな、とも感じました。

その栄養価や効能に注目し、薬のように考えられていた
(ともにヨーロッパでは薬屋で売られていた時代がある)、という点や
当初は庶民に手の届かぬ嗜好品であった、という点も …

施設内のカフェで、期間限定のショコラ・ショーをいただきつつ
イギリス庶民が気軽に喫することができるようになったころの
チョコレートハウスのにぎわいを想像してみたりしました。
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