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  • 2016.03.31 Thursday

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朝日新聞の夕刊に週がわりで連載されている
「人生の贈りもの」 というコーナーがあります。

詩人の加島祥造さんの週(紙面では先週夕刊)は
いまあたらめて、暮らし、ということを考えるに示唆的でした。

全4回、印象的なことばを挙げたらきりがないのですが
ここではぜひ “お茶まわり” のこれを引用させていただきます。
「自分自身の時間」 を持つために 「新聞とテレビを見ない」 という
ご自身の、朝の過ごしかたについてのくだりです(第1回)。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 朝は体はいいバランスで、頭の働きもクリアだ。
 ここにすわって山の景色を見ながら朝食をとるとき、
 テレビがあるとそっちに気を取られちゃう。
 … (中略) …
 朝食のあと、1時間ほどこの炉端に座って茶を飲んで過ごす。
 井戸からくんでくる水で抹茶と煎茶の両方を飲むんだ。
 なぜこのひとり茶が楽しいのかは、話が長くなるから言わないよ。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「言わないよ」 、ですって。
ふふふ、と笑ってしまいました。

“ひとり茶” の楽しさ、あの体の感覚って
たしかに、ことばではどうにもうまく伝えがたいもので。

加島さん、その “ひとり茶” の抹茶は
茶の湯の作法にはこだわらないといいます
(いや、印象としては、茶事ではなく日常生活のなかでは
作法にかっちり則して独服する人のほうが少数派かもしれません)。

「ただ、たとえば茶しゃくを使うと適量がすくえる。
ティースプーンじゃだめなんだ」 とのことばは
お茶を喫するということに日々の身体性をともなってこその実感。
私も日ごろ手にしている茶杓ですけれど
その用途にかなった美しさをあらためて思いました。

このバックナンバーは
会員サービスサイト(登録無料)でも読むことができます。
興味のあるかたはぜひ。

→ 「be 人生の贈りもの バックナンバー」 (外部サイト)
   (朝日新聞 会員サービス アスパラクラブ内)
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ハングルへの旅
ハングルへの旅
茨木 のり子
(朝日文庫)

今でこそ、韓国という国にも、その言語の響きにも
非常に近しい印象を受けますけれど。

詩集 『倚(よ)りかからず』 などで知られる茨木のり子さんが
隣国語の魅力を紹介し
そして旅行記でもあるこの随筆集を上梓されたのは
いまから四半世紀前のことでした。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 隣国語の魅力、おもしろさに、いろんな角度から光りをあてて、
 日本人、特に若い人たちに
 「私もやってみようかな」 と、ふと心の動くような、
 いわば魅惑の書を書きたかったのである。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

茨木さん自身が韓国語を学び始めたのは50代からと
決して早いスタートではないのに
隣国への憧憬をつづることばの、少女のように瑞々しいこと。
もとの単行本の初版は、ちょうど還暦のころだそうです。

前半はおもに、自身のハングルの学びの道程や
ハングル自体の魅力について。
そして後半は旅行記が中心の構成となっています。

旅の記録には、工芸や食に関しての内容も豊富で
“お茶まわり” の話題としては、「味」 という一篇のなかで
「雀舌茶(チャクソルチャ)」 という緑茶に触れていました。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 友人のそのまた友人である成(ソン)さんの家に招かれた時、
 おいしい料理のもてなしの後に、
 無いと思っていたお茶を出された。
 目の前でまるで煎茶道のようにひどくていねいに入れてくれて、
 それが旱天の慈雨のように美味でとたんに生き返るほどだった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

海外旅行のあいだ緑茶から遠ざかっていた
「むちゃくちゃお茶好きの私」 が、潤される瞬間の高ぶり。

こんな風に客人に感じさせるお茶を出せたら、本望です。

ただ、韓国では残念ながら
チャノキからできる茶葉を用いた喫茶風習は
現代ではあまり一般的なものではないようです。
たしかに韓国のお茶といえば、麦茶やコーン茶が浮かびますね。

あと、韓国で工芸といえば。
あの浅川巧の墓参に訪れたさいの

「忘憂里(マンウーリ)」

でのひとときの叙述が、しみじみと、実に温かくて。

現在、全国4会場を巡回している展覧会
『浅川伯教・巧兄弟の心と眼 ― 朝鮮時代の美 ―』
に感銘を受けたかたにおすすめしたい一篇です。
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『新・石水博物館開館記念 所蔵名品展
 ― 川喜田家歴代コレクションと半泥子の芸術 ―』
於 ・ 石水博物館 (三重・津)
第二期 : 2011年7月21日(木)〜10月10日(月・祝)

201107231219000.jpg

津市の石水博物館が、今年の5月に移転開館したと聞き
足を運んでみました。

博物館がたたずむ千歳山は、実業家であり陶芸家の
川喜田半泥子(はんでいし)が暮らしたところ。
津の中心街から離れ、森に囲まれた高台の閑静な地です。

川喜田家は江戸期から木綿問屋を営んだ指折りの豪商で
半泥子はその16代当主。
そもそも、この博物館の母体である財団法人石水会館は
半泥子が1930(昭和5)年に設立したのだといいます。

ですから所蔵品は、半泥子の茶陶や書画のみならず
歴代当主の蒐集品やゆかりの品、資料など多岐にわたり
現在の開館記念展でも

第1展示室 : 「川喜田家のコレクションから」
第2展示室 : 「川喜田半泥子の茶陶と書画」

と、それぞれのテーマにて1室ずつ展示が。

ただ、第1展示室には、例の、アニメ 「へうげもの」 の関連企画
「東海3県10館合同展覧会 へうげもの
織部・大数寄(ダイスキ)・コレクション」 (NHKサイト)
に連動して
半泥子が 《鬼の首》 と自銘した古伊賀などが展示されていて
“お茶まわり” の愉しみもふんだんです。

第2展示室、半泥子自身が手がけた茶陶の紹介は
現在の第二期は、時節にあわせ夏茶碗が中心ではありますが
粉引茶碗の銘 《雪の曙》 、高麗手茶碗の 《雅茶子》 や
古伊賀水指の名品 《破袋》 に想を得た水指 《慾袋》 等々
彼ならではの創意を如実にあらわす代表作も拝見が叶い。

半泥子の茶碗は、その宇宙の清大さや飄逸な銘はもちろんのこと
ただただ、そこに向き合った人間をそらさないですね。
そして、息づかい、轆轤(ろくろ)の緩急が活き活きと。
正面、そして、口を寄せる位置がおのずとみえてくるといいますか
単に均整だとかいうような外形的なことばでは表せない
茶碗の姿勢のよさとはこういうことかと、うならされます。

さて、茶陶を展示する空間としても、この博物館は
展示室のほどよいサイズ感や照明の質が個人的に好みでした。
茶陶の展示台の高さや奥行きも、ちょうど
茶をする際に畳上で正坐し拝見するときの目線に近く
非常に近しい印象がありました。

定期的に足を運びたい博物館が、またひとつ増えました。

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検定ブームも一時にくらべ落ち着いてきた感がありますが
茶の湯関係にも 「茶道文化検定」 というものがあります。

→ 「茶道文化検定」 公式サイト (外部サイト)

今秋に全国18の一般会場で実施される
第4回検定の受験申し込み受付が
来週月曜日、7月25日から始まります。

この指揮をとっているのは裏千家今日庵の茶道資料館ですが 
質問内容は、流派に関係なく作成されています
(お点前に関する設問はないとのこと)。
学生さんの団体受験も多いようですよ。

総合芸術といわれる茶の湯ですから、出題内容も多岐にわたり
茶のこころやお茶事について、また歴史に関してはもちろんのこと
美術・工芸、建築など幅広い知識が必要となります。
1〜4級までの、全4級です。

公式サイト上では、3、4級(初級〜一般知識レベル)の
「チャレンジ問題」 を少し体験することもできます。
その場ですぐに答え合わせもできますから
興味のあるかた、まずは腕試ししてみてはいかがでしょうか。

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201107211306000.jpg

先日、静岡市美術館 (外部サイト) で始まった
「没後150年 歌川国芳展」 の前期展示に足を運びました。

ミュージアムショップで目にとまったのが、こちら。

猫や金魚など、国芳お得意のモチーフが詰まった
展覧会限定グッズの、和三盆糖を用いたお干菓子です。
735円でした。

製造者はパッケージに記されていませんでしたが
見覚えのあるしおりに加え
お菓子にもいくつか見覚えのある(定番の)型が含まれていて
香川県のあの老舗が製したものかな? と。

食べるのがしのびなくなる可憐さです。

和三盆というと、“和” のイメージが強いですけれど
うまみは深いものの元来がシンプルな風味ですから
抹茶 などの日本茶にはもちろん
ていねいに淹れたコーヒーや紅茶にも相性がいいんですよ。
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台風6号の影響にともなう道路事情などにより
明日21日(木)にかけまして
商品のお届けがご指定日時より若干遅れる可能性がございます。

お客さまにはご迷惑をおかけいたし申しわけございませんが
あらかじめご了承くださいますようお願い申し上げます。

なお現在、お届け日のご指定をいただいたお荷物で
お届け日までに日数の余裕がある場合には
念のため、通常配送にかかる日数プラス1日の余裕をもって
発送手配いたしておりますのでご安心ください。

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お茶のことのは ●  穀茶(こくちゃ)

  穀類を加工して、茶のように煎じ出して飲料とするもの。
  加工は焙煎(ばいせん)する場合が多い。
  麦茶、はぶ草茶、とうもろこし茶、蕎麦茶などがそれだが、
  一方でこれらの穀茶を
  本当の茶葉に混合して販売されるものもある。
  玄米茶などはその例である。
           ― 緑茶の事典 改訂3版(柴田書店)より  ―

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  

穀茶、ということば自体は
おそらくほとんどの国語辞典に載っていないでしょうし
さほど一般的でもないだろうと思われます。

たとえば、五穀茶、十穀茶、というように
ブレンドした穀類の種類数をあたまにつけると
イメージがわきやすいでしょうか。

日本の夏のお茶の代表格、麦茶はまさにこの穀茶です。

また今日では、厳密にイネ科のものだけに限らず
たとえば黒豆や大豆、小豆といったマメ科や
最近では胡麻を用いたものもあるようです。
健康志向の高まりにつれ
実にさまざまな味わいのものが流通するようになりました。

いずれも、「茶」 という字がついていながらも
チャノキから摘んだ葉を原料としていないということで
いわゆる 「茶外茶(ちゃがいちゃ)」 の一種ですね。

弊社では、穀茶に類するものは販売いたしておりませんが
焙煎玄米を加えて製する 玄米茶
“穀茶ブレンド” といったところでしょうか。 



<< 今日の記事のおもな関連記事 >>
 ◆ 2009/07/14 「麦茶の歴史は古かった」
 ◆ 2010/12/09 「薬茶」

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茶の原産地紀行―茶の木と文化の発生をさぐる
茶の原産地紀行 ― 茶の木と文化の発生をさぐる
松下 智
(淡交社)

いま、世界の多くの国に茶が伝えられ、栽培されたり
飲用をはじめとしてさまざまに利用されたりしています。

では、そのルーツはどこだったのでしょうか。

茶の木そのものの原産地については、現在のところ
中国・雲南省の最南端に位置する
西双版納(シーサンパンナ)あたりだとする説が有力で
この本の著者、松下智氏も
「(中国)雲南省南部から東南アジア山地」 とみています。

とはいえ、その茶を生活のなかで利用しはじめた
いわゆる 「製茶、喫茶の文化の発祥地」 についても
同じ西双版納あたりだったとは断定できないわけで。

1962年のビルマ(現ミャンマー)訪問にはじまり
半世紀近くもの長きにわたり
アジアの各地でフィールドワークを続けてきた氏。

各地に残る茶の古木、また製法や喫しかたにくわえ
少数民族の移動してきた道すじやその分布等も調査したなかで
氏が茶文化発祥の地と目したのが
中国南西部、雲貴高原の北端に位置する 「武陵山地方」 。 

利用をはじめた少数民族が移動性の強い人々であったために
長期にわたる広範囲な移動とともに
茶を喫するという文化もじわじわ広まっていったといいます。
実に壮大!

専門的な用語も少なくなく、一見とっつきにくいかもしれませんが
さまざまな地の人々の暮らしや、伝統的な喫茶法なども詳細で
奥地の旅行記としても楽しめる一冊かと思います。

私は読んでいるうちに、まるで氏のアシスタントになって
ともに茶のルーツを探す旅に出ているような気分になりました。

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  • オンラインご注文で 「こなゆき」 をプレゼント、8月7日まで
  • 2011.07.14 Thursday 09:06

暑い日が続きますね。
丸玉製茶から、ささやかですが暑中御見舞を …

インターネットの オンラインショップ から
本日より8月7日(日)までの間にお買上げいただいたお客さまに
もれなく 「冷水専用 こなゆき」 スティック7本入
同封させていただきます。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 【 期間 】

  7月14日(木)〜8月7日(日) オンラインショップ受付分
 

 【 同封商品 】

  顆粒茶 「冷水専用 こなゆき」 スティックタイプ7本入
  (商品価格 350円 (税込))

  ※ 昨年産の茶原料にて製造いたしております。
  ※ スティック1本につき約500ccの冷茶がつくれます。
  ※ 「こなゆき」 をご購入のお客さまには
     他商品のサンプルを同封させていただきます。


 【 備考 】

  インターネット限定企画のため
  おはがき・FAX・お電話にてのご注文、および
  インターネット非掲載の卸商品、オーダーメイド品等は
  誠におそれいりますが対象外とさせていただきます。

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この商品、もともと弊社の オリジナル顆粒茶 のなかでも
上煎茶本来のおいしさに特にこだわった一品です。

空きペットボトルや携帯用タンブラーなどで作りやすいよう
ちょうど500ccの冷水で溶かした際に
最良の味と濃さでお召し上がりいただけるように
スティック1本あたりの内容量を設定いたしております。
(もちろんホットでもお楽しみいただけます)

丸玉製茶の夏の人気商品、どうぞこの機会にお試しくださいませ。

たくさんのお客さまのご利用を
スタッフ一同、心よりお待ち申し上げております。

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昨日のブログ のなかで触れましたが
インドでの茶栽培の歴史は思ったより新しいんですね。

インドで、当時の支配国である英国が
プランテーションをつくりお茶の生産をはじめたきっかけは
1840年、アヘン戦争の勃発によって
中国産のお茶が入手できなくなったからだといいます。

そのアヘン戦争の顛末などについて書かれた記事が
ちょうど、日経ビジネスオンラインに掲載されました。

→ 「 「虎門銷烟」 ・・・ 中国、屈辱の 「近代」 」
   (日経ビジネスオンライン 2011/07/12)

18世紀以降、英国では喫茶が大いに流行し
中国から相当量のお茶を輸入していました。
その対価として、中国へと輸出されたのが
英領であったインドで生産されたアヘンでした。

このように、戦争のきっかけにお茶があったことは有名ですが
記事のなかで “お茶まわり” でもうひとつ興味深かったのが
このアヘンを中国向けに 「商品化」 するための
英国の巧みな売りこみ戦略についての記述です。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 今一つは、斬新な消費法の提案である。
 従来インドではアヘンを薬として茶に混ぜて飲んでいたのだが、
 それではアヘン特有の苦みや臭みを免れなかった。
 それに対する新しい消費法とは、
 アヘンを火で炙ってキセルで煙を吸飲するやり方だ。

 これが中国人の嗜好にあった。
 以降、加速度的に中国のアヘン輸入が拡大していく。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

インドではかつて
「アヘンを薬として茶に混ぜて飲んでいた」 んですね。

お茶自体ももともとアジアのみならず多くの地域で
薬のように服されていたものですから
そういえばそうかも、とは思いつつも、やはり驚きました。

中国へと売りこまれた、煙を直接吸引するという
飲んだときのように苦みや臭みをともなわないという方法。
これによりアヘンの国内需要が爆発的に伸び
お茶の輸出だけでは貿易バランスが保たれなくなったことが
戦争の引き金になったと考えると
アヘン戦争の、いかにお茶とのかかわりが深いことでしょう。

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