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『新・石水博物館開館記念 所蔵名品展
― 川喜田家歴代コレクションと半泥子の芸術 ―』
於 ・ 石水博物館 (三重・津)
第二期 : 2011年7月21日(木)〜10月10日(月・祝)
津市の石水博物館が、今年の5月に移転開館したと聞き
足を運んでみました。
博物館がたたずむ千歳山は、実業家であり陶芸家の
川喜田半泥子(はんでいし)が暮らしたところ。
津の中心街から離れ、森に囲まれた高台の閑静な地です。
川喜田家は江戸期から木綿問屋を営んだ指折りの豪商で
半泥子はその16代当主。
そもそも、この博物館の母体である財団法人石水会館は
半泥子が1930(昭和5)年に設立したのだといいます。
ですから所蔵品は、半泥子の茶陶や書画のみならず
歴代当主の蒐集品やゆかりの品、資料など多岐にわたり
現在の開館記念展でも
第1展示室 : 「川喜田家のコレクションから」
第2展示室 : 「川喜田半泥子の茶陶と書画」
と、それぞれのテーマにて1室ずつ展示が。
ただ、第1展示室には、例の、アニメ 「へうげもの」 の関連企画
「東海3県10館合同展覧会 へうげもの
織部・大数寄(ダイスキ)・コレクション」 (NHKサイト) に連動して
半泥子が 《鬼の首》 と自銘した古伊賀などが展示されていて
“お茶まわり” の愉しみもふんだんです。
第2展示室、半泥子自身が手がけた茶陶の紹介は
現在の第二期は、時節にあわせ夏茶碗が中心ではありますが
粉引茶碗の銘 《雪の曙》 、高麗手茶碗の 《雅茶子》 や
古伊賀水指の名品 《破袋》 に想を得た水指 《慾袋》 等々
彼ならではの創意を如実にあらわす代表作も拝見が叶い。
半泥子の茶碗は、その宇宙の清大さや飄逸な銘はもちろんのこと
ただただ、そこに向き合った人間をそらさないですね。
そして、息づかい、轆轤(ろくろ)の緩急が活き活きと。
正面、そして、口を寄せる位置がおのずとみえてくるといいますか
単に均整だとかいうような外形的なことばでは表せない
茶碗の姿勢のよさとはこういうことかと、うならされます。
さて、茶陶を展示する空間としても、この博物館は
展示室のほどよいサイズ感や照明の質が個人的に好みでした。
茶陶の展示台の高さや奥行きも、ちょうど
茶をする際に畳上で正坐し拝見するときの目線に近く
非常に近しい印象がありました。
定期的に足を運びたい博物館が、またひとつ増えました。
検定ブームも一時にくらべ落ち着いてきた感がありますが
茶の湯関係にも 「茶道文化検定」 というものがあります。
→ 「茶道文化検定」 公式サイト (外部サイト)
今秋に全国18の一般会場で実施される
第4回検定の受験申し込み受付が
来週月曜日、7月25日から始まります。
この指揮をとっているのは裏千家今日庵の茶道資料館ですが
質問内容は、流派に関係なく作成されています
(お点前に関する設問はないとのこと)。
学生さんの団体受験も多いようですよ。
総合芸術といわれる茶の湯ですから、出題内容も多岐にわたり
茶のこころやお茶事について、また歴史に関してはもちろんのこと
美術・工芸、建築など幅広い知識が必要となります。
1〜4級までの、全4級です。
公式サイト上では、3、4級(初級〜一般知識レベル)の
「チャレンジ問題」 を少し体験することもできます。
その場ですぐに答え合わせもできますから
興味のあるかた、まずは腕試ししてみてはいかがでしょうか。
お茶のことのは ● 穀茶(こくちゃ)
穀類を加工して、茶のように煎じ出して飲料とするもの。
加工は焙煎(ばいせん)する場合が多い。
麦茶、はぶ草茶、とうもろこし茶、蕎麦茶などがそれだが、
一方でこれらの穀茶を
本当の茶葉に混合して販売されるものもある。
玄米茶などはその例である。
― 緑茶の事典 改訂3版(柴田書店)より ―
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穀茶、ということば自体は
おそらくほとんどの国語辞典に載っていないでしょうし
さほど一般的でもないだろうと思われます。
たとえば、五穀茶、十穀茶、というように
ブレンドした穀類の種類数をあたまにつけると
イメージがわきやすいでしょうか。
日本の夏のお茶の代表格、麦茶はまさにこの穀茶です。
また今日では、厳密にイネ科のものだけに限らず
たとえば黒豆や大豆、小豆といったマメ科や
最近では胡麻を用いたものもあるようです。
健康志向の高まりにつれ
実にさまざまな味わいのものが流通するようになりました。
いずれも、「茶」 という字がついていながらも
チャノキから摘んだ葉を原料としていないということで
いわゆる 「茶外茶(ちゃがいちゃ)」 の一種ですね。
弊社では、穀茶に類するものは販売いたしておりませんが
焙煎玄米を加えて製する 玄米茶 は
“穀茶ブレンド” といったところでしょうか。
<< 今日の記事のおもな関連記事 >>
◆ 2009/07/14 「麦茶の歴史は古かった」
◆ 2010/12/09 「薬茶」
『茶の原産地紀行 ― 茶の木と文化の発生をさぐる』
松下 智
(淡交社)
いま、世界の多くの国に茶が伝えられ、栽培されたり
飲用をはじめとしてさまざまに利用されたりしています。
では、そのルーツはどこだったのでしょうか。
茶の木そのものの原産地については、現在のところ
中国・雲南省の最南端に位置する
西双版納(シーサンパンナ)あたりだとする説が有力で
この本の著者、松下智氏も
「(中国)雲南省南部から東南アジア山地」 とみています。
とはいえ、その茶を生活のなかで利用しはじめた
いわゆる 「製茶、喫茶の文化の発祥地」 についても
同じ西双版納あたりだったとは断定できないわけで。
1962年のビルマ(現ミャンマー)訪問にはじまり
半世紀近くもの長きにわたり
アジアの各地でフィールドワークを続けてきた氏。
各地に残る茶の古木、また製法や喫しかたにくわえ
少数民族の移動してきた道すじやその分布等も調査したなかで
氏が茶文化発祥の地と目したのが
中国南西部、雲貴高原の北端に位置する 「武陵山地方」 。
利用をはじめた少数民族が移動性の強い人々であったために
長期にわたる広範囲な移動とともに
茶を喫するという文化もじわじわ広まっていったといいます。
実に壮大!
専門的な用語も少なくなく、一見とっつきにくいかもしれませんが
さまざまな地の人々の暮らしや、伝統的な喫茶法なども詳細で
奥地の旅行記としても楽しめる一冊かと思います。
私は読んでいるうちに、まるで氏のアシスタントになって
ともに茶のルーツを探す旅に出ているような気分になりました。
暑い日が続きますね。
丸玉製茶から、ささやかですが暑中御見舞を …
インターネットの オンラインショップ から
本日より8月7日(日)までの間にお買上げいただいたお客さまに
もれなく 「冷水専用 こなゆき」 スティック7本入 を
同封させていただきます。
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【 期間 】
7月14日(木)〜8月7日(日) オンラインショップ受付分
【 同封商品 】
顆粒茶 「冷水専用 こなゆき」 スティックタイプ7本入
(商品価格 350円 (税込))
※ 昨年産の茶原料にて製造いたしております。
※ スティック1本につき約500ccの冷茶がつくれます。
※ 「こなゆき」 をご購入のお客さまには
他商品のサンプルを同封させていただきます。
【 備考 】
インターネット限定企画のため
おはがき・FAX・お電話にてのご注文、および
インターネット非掲載の卸商品、オーダーメイド品等は
誠におそれいりますが対象外とさせていただきます。
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この商品、もともと弊社の オリジナル顆粒茶 のなかでも
上煎茶本来のおいしさに特にこだわった一品です。
空きペットボトルや携帯用タンブラーなどで作りやすいよう
ちょうど500ccの冷水で溶かした際に
最良の味と濃さでお召し上がりいただけるように
スティック1本あたりの内容量を設定いたしております。
(もちろんホットでもお楽しみいただけます)
丸玉製茶の夏の人気商品、どうぞこの機会にお試しくださいませ。
たくさんのお客さまのご利用を
スタッフ一同、心よりお待ち申し上げております。
これが中国人の嗜好にあった。
以降、加速度的に中国のアヘン輸入が拡大していく。
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インドではかつて
「アヘンを薬として茶に混ぜて飲んでいた」 んですね。
お茶自体ももともとアジアのみならず多くの地域で
薬のように服されていたものですから
そういえばそうかも、とは思いつつも、やはり驚きました。
中国へと売りこまれた、煙を直接吸引するという
飲んだときのように苦みや臭みをともなわないという方法。
これによりアヘンの国内需要が爆発的に伸び
お茶の輸出だけでは貿易バランスが保たれなくなったことが
戦争の引き金になったと考えると
アヘン戦争の、いかにお茶とのかかわりが深いことでしょう。