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  • 2016.03.31 Thursday

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この2011年は、私ども製茶業者にとりましても
忘れられない一年となりましたが
たくさんのお客さまに弊社のお茶をご愛飲いただき
心より感謝申し上げます。

さて、明日12月29日(木)より、2012年1月5日(木)まで
弊社では、年末年始休業とさせていただきます。

休業期間中も、当 ホームページ やファックスにてのご注文
および お問い合わせフォーム からのご質問は受け付けておりますが
商品発送、ならびにご質問へのお返事は
1月6日(金)以降の順次対応とさせていただきます。

大変ご不便をおかけいたしますが
ご理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

寒気がつのってまいりました、お風邪など召されませぬよう
皆さまお元気でよき新年をお迎えになられますことを
心よりお祈り申し上げます。

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お茶が熱くてのめません ―Tanabe
お茶が熱くてのめません ―Tanabe Seiko Collection 4
田辺 聖子
(ポプラ文庫)

ポプラ文庫から出ている、田辺聖子さんの短篇集シリーズ
「Tanabe Seiko Collection」 のなかの一冊です。

このシリーズ、かつて発表された作品の再収録なのですが
巻によってそれぞれテーマが異なっていて
この 『お茶が熱くてのめません』 には
別れた男女の、その後の心の機微を描いたものが集められています。

表題作になっている 「お茶が熱くてのめません」 は
かつての恋人との、7年ぶりのつかの間の再会の物語。
というと、なにやら色っぽいものを想像してしまうのですが、いやいや。

自分と同世代とおもわれる主人公女性の、微妙で気まずい心模様が
はじめて読んだ20代のころよりも共感できたり。
短い話なので、筋をここに紹介するのは控えますけれど
田辺さんの作品は、会話の運びがほんとうに面白いですね。
そしてこのオチ、なかなか身につまされるものでした。

舞台はほぼ、主人公の女性の仕事場ひと部屋に終始します。
そこでの彼らの語らいと、主人公の女性の心情を追うのに
タイトルにも登場するお茶が、いい小道具になっているんですね。
それも、ふたりはほとんど口にしない。

一般に、小説や映画で、日常風景の演出としてお茶が登場しても
それがなぜか、とってつけたような感じがしたりして
どこか浮いてみえてしまうものも少なくないように思うのですが。

この物語のお茶は、さりげなく、しかし要所でぴりっと
リズムづくりに効いていて。
そんなところもユニークに感じながら読みました。

この 「お茶が熱くてのめません」 は
角川文庫の 『ジョゼと虎と魚たち』 にも所収されていますよ。
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お茶のことのは ● 茶座敷(ちゃざしき)

  茶をたてる座敷。茶席。茶室。
             ― 大辞林 第二版(三省堂)より  ―
 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

近ごろではあまり耳慣れないことばですが
昭和のはじめごろまでの小説や随筆などに
これが用いられているのを目にすることがあります。

辞書に載っている語義からして
いわゆる 「茶室」 とほぼ同義と考えてよさそうですね。

ただ、小説などでの用いられかたからして
茶事専用に設計された、いかにもな茶室ばかりでなく
もっとゆるやかに、小間であれ広間であれ
畳敷きの応接間全般を含むニュアンスがあるようにも感じます。

現代の暮らしでは、フローリングなどの洋風な応接空間でも
お茶を点てて楽しむことはもちろんできますけれども
「茶座敷」 ということばの場合は
畳を敷きつめた空間のほうが、語感に合いますね。

で、「座敷」 という語のそもそもが少し気になって
あらためて同辞書で引いてみました。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 〔補説〕
 昔の家は板敷で、円座や上げ畳などを敷いて座ったところから

 <1> 来客に応対するための畳敷きの部屋。客間。
      また、板敷に対して、畳が敷いてある部屋。
 <2> (多く 「お座敷」 の形で)
      芸人・芸者などが客に招かれて出る席。酒席。
 <3> 居所。ありどころ。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

庶民にとって、畳を一面に敷きつめた部屋はたいへん贅沢で
それが身近なものとなったのは近世以降のことといわれます。

和室イコール畳、という固定観念がありますけれども
〔補説〕 のところにありますように
むしろ、かつて庶民に一般的であったのは、板張りの部屋。
フローリングだったんですね。

そこに長時間座っていても楽なように
上げ畳などのポータブルな敷物を置いたことがもととなり
さらには、畳を敷きつめた部屋についても
「板敷」 ということばに対して
「座敷」 が用いられるようになったということのようです。

ということで、やはり 「茶座敷」 ということばには
畳敷きの空間がしっくりきますでしょうか。

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201112221118000.jpg
鶴屋 鶴壽庵(京都)製 「鶏卵せんべい」

京都では珍しく、南蛮菓子の鶏卵素麺を製する鶴屋さん。
こちらの、同じく鶏卵を用いたせんべいも美味です。

直径は2寸ちょっと。
焼きしめが堅すぎず、細かな気泡の入りもバランスがよく
食すと、口中でのばらけかたが穏やかな印象。
まさに卵色、という断面もきれいです。

ひと筆書きの星の一辺がかけたような文様は …

右下の、終筆にあたる部分の細くなっている線上に
ほんの小さく、点がちょこんと打たれているのを目として
そこから先端にかけてをくちばしに見立てると
飛翔する鶴の姿がうかび上がってきます。

非常にシンプルな図柄の焼印ですが
これは何を表現したものかな? と考える時間の楽しさも
和菓子をいただくということの魅力のひとつかと感じます。

お薄上級煎茶 とともに。
迎春菓としても重宝しそうです。

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『高麗美術館コレクション名品展
 朝鮮陶磁の美 ― 青磁・白磁・粉青沙器』
於 ・ 高麗美術館 (京都)
2011年11月12日(土)〜12月24日(土)
2012年1月7日(土)〜1月29日(日)

201112171052000.jpg

京都の高麗美術館にて、所蔵品のなかから
高麗青磁と李朝白磁、そして粉青沙器を中心とする
陶磁器の優品が一堂に拝見できる展覧会が開催中です。

たっぷりとおおらかな蓮の花が魅力的な
15世紀後半の 《粉青掻落蓮華文扁壺》 や
まさに高麗美術館コレクションを代表する
17世紀後半、透明感と端正さをたたえる 《白磁壺》 など …

1階の展示室に、空間が許すかぎりという感じで
陶磁器だけでも70点ほどが並んでいます。
木工家具や絵画もあわせると、約100点。

また、国内の美術館ではあまり拝見する機会の多くない
高麗時代以前のうつわも紹介されているのも
今展の見どころのひとつかと思います。

個人的には今回は、徳利や杯といった
酒器におもしろみを感じるものが多かったです。

なかでも、小品ですが
15世紀末の 《白磁耳杯》 には惹かれました。
薄づくりで、気品を感じる姿勢のよさがありながら
掌に包みたくなるような、絶妙の柔和な曲面を併せ持っていて。

実際に手にすることは叶わなくとも
今こうして様子を思い出すだけで、一献傾けることのできそうな。

そんな親しみと懐かしさををおぼえるのも
朝鮮半島のうつわの持ち味こそかもしれません。

ところで。
このプレゼント、うれしかったです。

201112211431000.jpg

今回の展覧会期中、2名以上の来館で
こちらの、1991年刊 『李朝染付』 図録がいただけるという企画。

朝鮮半島の青花白磁が32点、カラーで収録されていて
現在出品されているものもかなり含まれていますよ。

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お雑煮をはじめ、お餅をいただく機会がぐんと増えるお正月。
窒息事故の報道を耳にする時季でもあります。

上掲の 産経新聞 の記事、要点がまとまっており参考になります。

窒息を防ぐ食べかたのポイントとして挙げられていたのが

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  
 (1)抜けている歯がある人は治療する

 (2)一口の量を多くせず、唾液とよく混ぜながら30回以上かむ

 (3)食べ物を飲み込んでからおしゃべりする

 (4)口に食べ物が入っていない状態でお茶や汁物を飲み、
    口の乾燥を防ぐ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  

の4点。

のどに詰まらないように食べるためには
唾液と混ぜるようにしてよく噛むことが大切なのだとか。

ただし、「高齢になると、かむ力が弱まり唾液の分泌も減少、
飲み込む機能も低下する」 ために
(4)のように、あらかじめお茶などで口中を湿らせておくことが
予防に有効であるといいます。

お茶まわりでは、流儀によりますが、初釜の主菓子に
花びら餅など、お餅を用いたものを供することもありますね。
亭主をつとめる際のみならず、茶事の連客としても
お年を召したかたへの気配りを心がけねば、と思った次第です。

記事では、料理を出す側としての留意点や
応急処置についても言及されています。
気になるかたはぜひご一読ください。
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いただいたお休みを利用しまして
京都・伏見深草の 石峰寺(外部サイト) を訪れました。

201112181108000.jpg

住宅地の細い路地をぬけ、石畳の階段を上がっていくと
中国風の竜宮門が目をひきます。

門の右手前には、枝ぶりも見事な八重桜が。
春には見事な花景色を楽しめるそうです。

さて、竜宮門をくぐった先には
釈迦如来をご本尊とする本堂と、そして墓地があります。

201112181112000.jpg

江戸中期の絵師、伊藤若冲(じゃくちゅう) のお墓に
手をあわせてまいりました。

晩年、この寺に草庵を結んだという若冲。
本堂の裏山に、自らの下絵を石工に彫らせる形で制作したという
五百羅漢がのこされています。

釈尊誕生から出山、修行、涅槃、そして賽の河原までが
山の緩やかな傾斜地にぐるりと点在していて
木々に抱かれめぐりながら、ぼーっと眺めていると
立体曼荼羅のごとくな宇宙に包まれている心地がしてきます。

現在、五百羅漢の撮影は禁止されておりますため
文章のみのご紹介となりますが
森のなかに配された、数百もの石の仏さまは
年月とともに風化がすすんでおり、やわらかく侘びた風情。

落葉樹が葉をおとして、ふんわり冬の光がさしこむ今時分は
紅葉のときのようなドラマティックな雰囲気はないけれども
湿りけの少ない風のそよぎも、また心地よく感じられました。

数年前、夏場に訪れたさいは、あちこち蚊に刺された記憶が。

今回、場の空気にひたれたのは
カメラのシャッター音が気にならなかったことに加えて
そのへんの要因もあったのかもしれませんね。
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  • 【重要】 年末年始の発送スケジュールにつきまして
  • 2011.12.19 Monday 09:13

早いもので、今年も残すところ一週間ほどとなりました。

さて、12月29日(木)より、2012年1月5日(木)まで
弊社では、年末年始休業とさせていただきます。
オンラインショップの発送スケジュールは以下のとおりとなります。


<< 顆粒茶 >>

  ● 12月28日(水) 15時 までのご注文確定分
     → 原則、年内に出荷いたします 

  ● 上記以降のご注文
     → 2012年1月6日(金)より順次出荷となります


<< リーフ、お詰合せ >>

  ● 12月27日(火) までのご注文確定分
     → 原則、年内に出荷いたします 

  ● 上記以降のご注文
     → 2012年1月6日(金)より順次出荷となります


ただし、大量のご注文、特注品、品切れの場合など
休業期間明けの出荷とさせていただくことがございます。
あらかじめご了承ください。


また、お支払い方法に前払いをご指定のお客さまは
弊社でのご入金確認をもちましてご注文確定となります。

年の瀬のこの時季は、例年
贈答品配送の混雑や道路事情による配送遅延が懸念されます。
本年中に商品のお届けをご希望のお客さまには
期日に余裕をもってのご注文をお願い申し上げます。

以上、大変ご不便をおかけしますが
何とぞご理解を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

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地元の菓子舗にて
クリスマスをイメージしたお饅頭を見つけました。

201112141327000.jpg

上生菓子を製するさいの、基本の材料や技術などは
どのような意匠であれ、おおむね共通しています。

こちらのお饅頭は、こし餡の芯に、山芋生地の
ごく定番の薯蕷(じょうよ)饅頭まんじゅうなのですが
ぽちっとつけた赤鼻と、焼印のつので
シンプルながら 「トナカイ」 を表現しているのが面白いです。
皮がほんのり茶色みがかっているのは麦こがしかな?

近年はクリスマスを意識した上生菓子が増えていて
お茶事では趣向に合わないとなかなか用いにくいものの
お稽古や、普段のおもてなしで大活躍してくれます。
自然と話がはずむんですよね。

そうそう、薯蕷饅頭って、抹茶 や 煎茶 ばかりでなく
コーヒーにもなかなかの相性なんですよ。
コーヒー党のかたも、ぜひ試してみてください。
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朝日新聞 の生活面の
シニア世代向けコーナーと思われる 「55プラス」 という欄に
「お茶を楽しもう」 という全3回の小連載がありました。

インターネットで購読できるのは
残念ながら 朝日新聞デジタル(有料) のみのようですが
これからお茶に親しみたいな、というかたには格好の内容で。

抹茶(薄茶)をいただく際の作法についてや
自宅でおいしくお茶を点てるためのコツなどが
イラスト入りで平易に紹介されていました。

最終回の、お茶を点てるポイントについての記事で
技術的なものばかりでなく、その心持ちについて触れた箇所に
ちょっといいな、と思ったことばがありましたので
その部分だけ以下に引用させていただきます。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  
 まずは 「自分がおいしいと感じるお茶を知ることが大切です」 。
 濃さや量、温度も好みや体調による。

 そして、心をこめてたてる。
 「大好きな人にぜひ飲んでほしい、と思うような
 お茶をたてられるといいですね」 と先生。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  

おいしいお茶になる基本、ごくあたり前のようでいて
なぜか忘れがちになってしまうのが、これなんです。

つまるところ、点てたお茶がいい感じになったかどうかは
自分の舌でたしかめるのが一番なんですけれど。

お稽古では一般的に、人が点てたお茶をいただくことは多くても
自分で点てたものを自服できる機会は少ないものです。
とくに初心者のうちは、緊張してしまったり
点前の手順で頭がいっぱいになったりで
お茶の味そのものがおろそかになってしまうことも。

お稽古を始めてから年月が浅くても
自宅でも日常的にお茶を点てて楽しむというかたのお茶は
不思議なもので、おいしいなと感じることが大半ですね。

これ、抹茶にかぎらず、煎茶などを淹れる場合も同じで。

よく、企業で淹れかた教室をさせていただくのですが
来客用に上級の煎茶や玉露を淹れて出す機会が多くても
そのお茶を自分では飲んでみたことがない、とか。
ここ何年も自宅では急須を使っていない、というかたもちらほら。

胸をはって、自分がおいしいと思えるものをお出しするのが
供応の根本でありたいと感じますし
そんな一杯にこめた気持ちは、うんちくの言葉を伴わずとも
きっと大切な相手に届くものと信じています。

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