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先日、春節期間でにぎわう横浜中華街に行ってきました。
せっかくなので、今年の干支にちなんで
「龍」 のひと文字をふくむお茶ということで
台湾茶専門店で、ちょっといい凍頂烏龍茶を求めてきました。
日本では、清涼飲料などの普及も手伝って
中国茶のなかでは、烏龍茶や鉄観音といった半発酵茶
いわゆる 「青茶」 が非常に有名ですし人気もあるようです。
半発酵茶とは、製茶の段階で
お茶の 生葉 の自家発酵をほどほどで止めたお茶のこと。
生葉のもつ酸化酵素を充分に活性させ
半発酵茶のように中途で止めずに、発酵させてしまったのが
「紅茶」 で有名な発酵茶ですね。
一方、日本で親しまれる 「緑茶」 は基本的に発酵させません。
新芽を摘んだら迅速に、蒸しの工程に入ります。
蒸すことで酸化酵素の働きを封じ
茶葉の自家発酵と変質を止めるんですね。
中国でも 「緑茶」 のなかまはたくさんつくられていて
たとえば 「龍」 の字を名にふくむものでいいますと
龍井茶(ろんじんちゃ)もそうですね。
茶葉の色も味わいも 「青茶」 や 「紅茶」 とは大きく異なります。
青、紅、緑 … というように
中国茶は茶葉の発酵度合いをはじめとする製法の特徴によって
緑茶、青茶、白茶、紅茶、黄茶、黒茶
の6色に分けて大きく分類されるそうです。
単純にすべての外観がまったくその色ということはないのですが
雰囲気の傾向というか、印象を鋭くとらえたこれらの表現に
美しさをも感じます。
* * *
ところで。
この 「青茶」 ということばは
半発酵の中国茶をあらわす以外にも用いられることがあって
大名茶人、古田織部が好んだ
緑の色みがぱきっと濃厚な抹茶のことを
「青茶」 (この場合は 「あおちゃ」 と読みます) といいます。
どういったものであったのか、あまり知られていないものの
小堀宗実氏の 『茶の湯の宇宙』 によれば
製茶の工程で、茶葉を少しゆでて
茶葉のもつ緑をより鮮やかに発色させたものとか。
ゆでることで、風味が若干落ちるのでは … とも思われますが
織部の色に対する嗜好をうかがわせる興味深い話と思います。
最新刊の 『へうげもの』 にも
この濃緑のお茶のエピソードが少し登場していますよ。
『へうげもの 14服』
山田 芳裕
(モーニングKC)
表紙の色も、濃緑なのでした。
風邪、そしてインフルエンザの流行が全国的に拡大しているとか。
静岡県でも、とくに県西部を中心に
インフルエンザによる学級閉鎖が増えているとの報がありました。
皆さま、どうぞご自愛くださいませ。
手洗い、うがい、部屋の加湿、マスク着用などの対策にくわえ
これも大切なことなのに忘れがちになるな、と思った事柄が
この記事のなかにありました。
→ 「【三重】 インフルエンザ : 流行、拡大中
名張の小中出席停止、前年の4倍超 伊賀で学年閉鎖12件」
(毎日新聞 2012/01/26)
入試を控えた、名張市の学習塾では
インフルエンザ予防のための対策のひとつとして
「休み時間には、電気ポットで沸かした温かいお茶を配って
乾燥した喉を潤すよう呼び掛けている」
のだそうです。
のどの粘膜の乾燥は、ウィルスの感染、増殖をまねくといいます。
ただでさえ冬場は空気が乾燥しているのみならず
気温が低いためにさほど汗をかかないですから
案外、水分補給がおろそかになりがちかもしれませんね。
この学習塾では温かいお茶を飲用しているとのことで
これは、茶カテキンの抗菌作用を期待してのことかもしれません。
ただし、もちろんお茶は薬ではなく一食品ですから
その効果を期待するというよりは、あくまでのどを潤す機会として
こまめに日ごろの水分補給を心がけてみてはいかがでしょうか。
宝泉堂(京都市)製 「千代木」
京都といえば、そば粉を用いたそばぼうろが有名ですが
小麦粉の生地でかりっと焼いたぼうろにも
お茶事にかなう質実な風味とデザインのものがさまざまあります。
小麦粉生地のぼうろには、なぜか
縁起のよい松葉をかたどったものが少なくないですね。
宝泉堂さんの 「千代木」 も、そのひとつ。
銘の千代木は、松の異名です。
拍子木のようなシンプルな長方形のぼうろを二本束ねた薄紙が
さりげないけれども素敵です。
緑色の松葉の絵に、「まつば」 の文字が小さく添えられて。
かっちりと焼きしめられているため、歯ざわりは堅め。
しかし、ざくっと噛んだあとの口どけは、ふうわりと。
枯淡な風味は、抹茶 のみならず
煎茶 や ほうじ茶 、それから意外とコーヒーにも合うのでは。
缶の大胆な配色も印象的なのです。
千代木の銘の部分は、きれいにはがれるシールです。
お茶はタダ、という感覚は日本人特有といわれますね。
こんな記事があって、くすっとしました。
→ 「【タイの吉野家】 湯飲みに入ったお茶が有料で笑った
/ しかし吉野家の牛丼はタイでもウマイ」
(ロケットニュース24 2012/01/20)
記事によりますと、牛丼レストランチェーンの吉野家さんの
タイ・バンコクにある店舗では
湯飲みに注がれた、温かい普通のお茶が
30バーツ(約70円)の有料提供なのだそうです。
また記事には、「日系牛丼レストラン・すき家も、
緑茶を10バーツ(約25円)、
水を20バーツ(約50円)で提供している。
日本とは違い、水分をとるのにもお金が必要なのだ」 、とも。
日本の飲食店では、無料で出してもらえることも多いお茶。
緑茶やほうじ茶などが私たちの生活に身近であるばかりでなく
安全でおいしい水にも潤沢に恵まれているこの国では
それがあたり前と思ってしまいがちなんですよね。
日本の飲食店のこうした慣習、サービスに
ありがとうの心を忘れずにいたいと、改めて感じました。
<< 今日の記事のおもな関連記事 >>
◆ 2009/01/29 「もてなしのお茶も不況で …」
静岡育ちだからでしょうか、こたつにつきものといえば
「お茶とみかん」 というイメージがあります。
gooランキングのこの調査結果が、なかなか面白いんです。
→ 「コタツで飲みたくなる温かい飲み物ランキング
― 冬にぴったりの体が温まる飲み物は?」
(zakzak 2012/01/18)
記事によると、上位は以下のとおり。
1位 緑茶
2位 コーヒー
3位 ココア
4位 紅茶
5位 ほうじ茶
6位 ホットレモン
7位 ホットミルク
8位 ゆず茶 …
こうしてみると、1位の緑茶以下いずれも
食卓の定番的なホットドリンクとの印象ではあるものの。
ココアが、紅茶やほうじ茶をおさえて3位というのは
意外と高順位だなあとも感じました。
こっくりとまろやかな質感のココア、たしかに寒い冬の夜などに
マグカップやカフェオレカップを両手のひらで包んで飲みたくなる
ぬくもりのある雰囲気がありますね。
日本的な暖房器具のこたつですけれども
昨今では洋風なデザインのものも多くなって
このランキングの上位にコーヒーやココアが入っていることにも
とくに違和感をおぼえないのですが。
ただ、やはり海外のかたがみると
日本的な、ちょっと面白い光景と感じるのでしょうか?
6位のホットレモンと、8位のゆず茶は
記事にあるように 「ビタミンCが豊富な温かい飲み物」 という点で
風邪をひきやすいこの季節にぴったりという感じがします。
カフェインをふくみませんから就寝前でも安心ですね。
ちなみに、関連してこんなランキングもありましたよ。
→ 「自宅でよく使う電気式の暖房器具ランキング
― 賢く暖かく 「節電」 するには」
(zakzak 2012/01/12)
こたつはエアコンに次いで2位でした。
今週末は、暦のうえで大寒。
寒さにくわえて空気の乾燥も気になるこの時期は
風邪やインフルエンザへの備えが欠かせません。
それでも万が一、かかってしまった場合に
気をつけたいことのひとつが、脱水症状の予防や対処。
お茶より水より、「経口補水液」 の飲用が効果的といいます。
こんな記事がありました。
→ 「脱水症状 : 約6割が対処法で認識不足」
(毎日新聞デジタル BizBuz 2012/1/17)
ネットリサーチ会社 マイボイスコム(外部サイト) による
「風邪等の諸症状時に陥る脱水症状について」 の
調査結果を伝える内容なのですが。
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結果によると、風邪等の諸症状時に
脱水症状に陥ることを知っている人は78.8%だった。
一方、「脱水症状時に水だけを飲むと
体内の塩分やその他電解質が薄まってしまい、
症状が悪くなることがあることを知っていましたか」
という質問には全体の58.5%が
「いいえ(知らなかった)」 と回答した。
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経口補水液は、ドラッグストアなどで市販されていますし
インターネット検索してみますと
塩や砂糖を用いて簡易的なものをつくることもできるようですね。
一点、この調査結果で少々気になったのが
水分補給のためにお茶を飲むかたが多いこと。
とくに脱水症状時の水分補給に用いる飲みものとして
水(57.8%)に次いでお茶(48.9%)との回答が多いんですね。
体内の塩分や電解質を薄めてしまうばかりでなく
お茶は、茶種にもよりますけれども
緑茶や紅茶ですと利尿作用のあるカフェインを含みます。
つらい風邪のときにはなるべく控えめにして
それでもやっぱりお茶も飲みたいな、というときには大事をとって
カフェインの少ない ほうじ茶 や番茶が安心かもしれません。
カフェインには覚醒させるはたらきもありますから
ぐっすり眠ってはやく治すためにも
とりすぎにはくれぐれもご留意くださいね。