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特集陳列 「東洋の青磁」
於 ・ 東京国立博物館 本館14室 (東京・上野)
2012年5月15日(火)〜7月29日(日)
キャラクター 「トーハクくん」 と 「ユリノキちゃん」 に
「東 博(あずま ひろし)」 と 「ノキ ユリ」 という本名があると知り
軽く驚いた、先日の東京国立博物館訪問でしたが。
開館140周年となるという今年は
本館の常設展示がいっそう充実していて
現在の特集陳列 「東洋の青磁」 が、また素晴らしかったです。
ひと口に青磁といっても、色味も艶の呈しかたもさまざまです。
古くは3世紀の古越州(こえっしゅう)から
18世紀江戸中期ごろの鍋島まで。
代表的な時代・地域・作例で構成された28点からなる
眼福の展示となっています。
※以下、緑字の箇所は
東博ホームページの 「名品ギャラリー」 へリンクしています。
いずれも名品ですが、なかでも惹きこまれたのは
中国・南宋官窯の 《 青磁輪花(りんか)鉢 》 。
全面に走る二重貫入(かんにゅう;釉面にあらわれるひび)の醸す
奥深い静けさと、崇高さがこの上ない鉢です。
繊細肉薄なさまが、職人の手の気配をまったく感じさせず
器の口縁がひかえめな輪花状になっていることもあって
まるで、陽光に向かって首をかしげる花びらのごとく超然と。
胎土の造作あってこその美とも感じました。
茶陶では、中国・龍泉窯(りゅうせんよう)の
《 青磁茶碗 銘 馬蝗絆(ばこうはん) 》 が拝見できます。
将軍足利義政が所持していたおり、ひび割れが生じたために
中国に送って同じような代替品を求めたものの
もうつくられていないからと、ひびを鉄の鎹(かすがい)で止めて
送り返してきたというエピソードのある一碗。
歴史の教科書か資料集に載っていたような気もしますけれども
そういった写真では、どうしてもその鎹に目がいってしまいがちで
(目立つアングルで撮影するという事情もあるのでしょう)
器物そのものの美しさにまで思いをいたせないところがありますが。
今回、砧手の気品と抑制味ある艶、素地のたおやかな均整美 …
見込の優麗さに、ため息がもれました。
アルカンシエール美術財団蔵の国宝
南宋の《青磁下蕪(しもかぶら)瓶》 が出品されていることも特筆。
また、高麗青磁は5件拝見できます。
フェルメールの名画の来日などでも話題の上野公園エリアですが
明日からの三連休、近くに足を運ぶというかたは
ぜひ国立博物館にも立ち寄ってみてくださいね。